もうメーターの改ざんは不可能! 悪徳中古業者が消滅の危機!? アルファロメオ・トナーレがブロックチェーン技術導入でクルマの世界が変わる可能性
アルファロメオ・トナーレがNFT技術を採用
昨今の投資ブームにおいて「仮想通貨で億り人(資産が1億円になること)」といった表現を目にしたという人は少なくないだろう。そんな仮想通貨を支える主要テクノロジーとして認知されているのが「ブロックチェーン」というものだ。 【写真】これぞ新時代のSUV! アルファロメオ・ジュニアに乗ってみた(全201枚) 日本語では「分散型台帳」とも表現されるブロックチェーンのメリットとしては、データの改ざんが非常に難しいこと、複数の端末をつないだネットワークを利用するため、システムダウンしにくいことが挙げられる。 そんなブロックチェーンを活用した暗号資産のひとつにNFT(Non-Fungible Token / 非代替性トークン)というものがある。NFTはデジタルデータながら、デジタル署名によって唯一無二という固有の価値を持つものといえる。 アート作品やゲーム内で使えるアイテムなどがNFTとして取引されているという話題を目にしたことがあるのではないだろうか。 そんなNFT技術を、自動車業界として初めて採用したのがアルファロメオだ。同ブランドのコンパクトSUV「Tonale(トナーレ)」に、NFT技術を活用したデジタル認証機能を導入したことが発表された。 その狙いは、クルマの価値を高めることにある。具体的に、アルファロメオのNFT証明書に記載される内容は、以下の5項目となっている(将来的に項目は追加される予定)。 1)日付 2)ブランド名 3)モデル名 4)車体番号(VINナンバー) 5)走行距離 前述したように、改ざんが非常に難しいブロックチェーン技術を使ったNFT証明書に、日付と車体番号と走行距離が記載されているということは、たとえば中古車として販売する場合に、正しい走行距離を示しているという安心感につながる。つまり、リセールバリューを高めることにつながるといえるのだ。
NFT技術によってクルマの情報をより正確に知ることができる
日本国内に限っていえば、車検証の備考欄にはオドメーターが示す数値などを記載することになっているため、大幅に走行距離を改ざんすることは難しいのだが、車検のタイミングでなくとも、ある程度信頼できるデータとして走行距離が明示されるというのはユーザーの安心感を高めることは間違いなさそうだ。 ところで、現在のWEB世界は一部のプラットフォーマー(サービス事業者)によってデータが管理され、収集されるといったスタイルが中心的であり、WEB2.0と表現されることが多い。 一方で、ブロックチェーンを活用した分散型・自律型のネットワークはWeb3(ウェブスリー)と呼ばれている。 我々はあまりにもWEB2.0的な世界観に慣れてしまっているが、その世界において情報の信ぴょう性というのは情報を管理・発信する事業者の信頼性とニアリーイコールといえる。前述した車検証の走行距離記載においても、制度を管轄する政府への信頼があるからこそ有効となっているのだ。 しかし、Web3的な世界であれば、ブロックチェーンという仕組みがデータの信頼性を高めてくれる。今後のアルファロメオ車において、NFT技術を活用してデジタル証明書を出せるようになるということは、政府やメーカーがデータの正統性を担保したり、保管したりすることなく、その個体にかかわる情報を信頼できるということになる。 はたして、自動車のリセールバリューを確保するのに、NFT証明書がどれほど機能するのかは将来の市場が決めることではあるが、クルマのデジタル化を次のフェイズに進化させるきっかけとなることを期待したい。
山本晋也