一時は「借金だらけ」で大ピンチ… 信州発、ジャムやワインの全国ブランド、再建の道のりとは
◆経理と問題解決係として奔走
----サンクゼール入社後、まず何から取り組んだのでしょうか? 2005年に入社後、まずは経理課で銀行対応から始めました。 会社の資金がどう動くか、資金を回してどのように運用して利益を出すのかをシビアに学びました。 当時の新規事業だった店舗事業は、1店舗あたりに何千万も投資しないといけない投資先行型でした。 だから、絶えず資金不足に陥ります。 5000万円、1億円といった借り入れが必要になるため、毎月事業がうまくいっているのか、どう改善していくのかを必死で考えていました。 こんな状況では、銀行融資は不可欠なので、借り入れのために約束したことは必ず実現するように社内に働きかけてきました。 徐々に銀行との信頼関係が構築でき、会社を資金面で支えることができたかなと思っています。 ----2009年に信州大学経営大学院イノベーションマネジメント専攻(MBA)を修了しています。 MBAはビジネスを担う身として最低限のスキルや知識を取得するべきだと考えたのと、弊社が抱える課題解決の糸口を見出したいと思って学びました。 ただ、実際に経営の現場に出ると、順風満帆ではなかったです。 30代は問題解決係みたいな感じで、問題の部署に行っては解決していくような役回りでした。 例えば、製造部門の従業員から「重たいものを持つ作業が苦しい」という訴えがあれば、投資をして製造効率を高めつつ重労働を減らしました。 離職率が高かった商品開発部門では、現場に入って問題点を一つずつ解決し、社員のモチベーションを高めて職場環境を良くする取り組みを模索してきました。 自己資本比率が1%程度になるなど、資金繰りも苦しかったですし、胃が痛くなって何度も辞めようと思っていましたね。 でも、社長だった父や弟とともに歩む家族経営という意識があり、「この課題を解決できればもっと会社は良くなる」「将来はこういう会社になっていくんじゃないか」などと励まし合ったから、やってこれたのだと思います。