「ファミマの靴下」が異例の“2200万足”販売。海外進出も果たした“コンビニ衣料品”ヒットの裏側
親会社・伊藤忠商事の存在が「コンビニでの衣料品販売」を下支え
現在、コンビニエンスウェアは全国のファミリーマート約16,200店舗で販売されている。これは、衣料品を取り扱う店舗の規模として国内最大級であり、コンビニだからこそ実現できる販売チャネルと言える。 その下支えをしているのが親会社の伊藤忠商事だ。 店舗への商品供給やコストを抑えた価格設定などは、まさに伊藤忠商事のサポートがあって実現できているわけである。 こうしたなか、コンビニエンスウェアは異業種とのコラボ商品も多く販売してきた。その選定基準には2つの軸があると須貝さんは説明する。
異業種コラボで意識する2つの選定基準
「1つ目はグローバルグランドとのコラボです。『コカ・コーラ』や『Netflix』といった著名なブランドとのコラボ商品は、コンビニエンスウェアへの信頼がないと実現しないわけです。 それを重ねることで、コンビニエンスウェアを知らない新たなお客様との接点を作るようにしています。 もうひとつは地域密着のブランドと取り組むことです。『FUJI ROCK FESTIVAL』(フジロック)は開催地の湯沢苗場に根付いたフェスで、2年連続でコラボ商品を販売しました。 フェス会場に出店したブースでは、多くのお客様にコラボ商品を手に取っていただくなど、非常に好評を得たコラボ事例となっています」 そのほか、地域に愛されるプロスポーツチームとのコラボも実施している。 プロ野球では広島東洋カープ(中国地方限定)や読売ジャイアンツ(東京限定)、福岡ソフトバンクホークス(九州限定)、プロバスケットボールでは琉球ゴールデンキングス(沖縄限定)など、地域限定のコラボ商品を販売することで、各チームのファンに向けた訴求を行っているのだ。
海外展開の初手として台湾に進出
ブランド立ち上げから順調な滑り出しを見せているコンビニエンスウェア。 直近では全身トータルコーディネートのバリエーションをさらに拡大させながら、季節性に合わせた商品展開をしていくそうだ。 「今は商品ラインナップを広げるフェーズですが、それを毎年ずっと広げ続けるからといえば、そうではないと思っています。どこかのタイミングで『売り場の広さとして最適な商品数』が分かる時がいずれ来るため、そのバランスを見極めながら商品開発に活かしていきたいですね」 そして今後は、海外にもコンビニエンスウェアを展開させていきたいと須貝さんは述べる。2024年11月からは台湾のファミリーマート約700店舗で販売を開始。 もともと台湾では親しみのあるコンビニだったのと、落合氏が手がけたファミリーマートを象徴するデザインが好まれたこともあり、出だしはものすごく好調だという。 ファミリーマートが見出したコンビニ発の衣料品は、どこまで快進撃を続けるのか。今後の動向にも注目していきたい。 <取材・文・撮影(人物)/古田島大介> 【古田島大介】 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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