原価率ばかり気にして外食をしようとしない夫にウンザリ。お店を営業するために必要な経費を伝えて納得させたいのですが……。
例えばラーメン店で提供されるラーメンの商品価格は、どのように決められるのでしょうか。使った材料が高いか安いか、手間がかかっているかいないかなどは商品価格を決定する要因ですが、それだけではありません。 今回は原価率とはどのようなものか、商品価格を決定する要因について触れつつ、飲食店の利益について紹介します。
2021年の飲食店の原価率はおおよそ4割
帝国データバンクの調査によると、2021年度の業績が判明した飲食店600社の原価率は平均37.5%です。2020年度(36.3%)から1.2ポイント上昇し、過去10年間で最も高い原価率となりました。1.2ポイントという上昇率は過去20年間で最も高い数値であり、原油、小麦や食肉などの輸入品価格の高騰が飲食業界に大きく影響していることが見て取れます。 飲食店の適切な原価率は一般的に30%前後です。例えば、ラーメン1杯を1000円で販売する場合、原価は300円程度で作る必要があります。これに対して「300円で作ったものを1000円で売るなんて高すぎる!」と考える方もいますが、実際には原価30%程度に調整しないと飲食店は存続が危ぶまれる状況になってしまいます。 「3倍の値段で売っているのになぜ?」と疑問に思う方もいるでしょうが、その理由は原価300円で作ったラーメンを1000円で売ったとして、差し引き700円が利益になるわけではないからです。
原価とは?
原価とは、材料費ではありません。飲食店でいうところの原価率30%は300円の材料費で1000円のラーメンを作っている意味で捉えて問題ありませんが、300円で作れるラーメンを1000円で売っているわけではありません。 原価とは、材料費だけでなく人件費や経費などの総額です。300円は原価を構成する一因となる材料費にすぎず、1000円のラーメンを作るためには300円の材料費に加えて従業員の給料、店舗を運営する電気代、土地や建物の賃借料などの経費がかかります。例えば、1000円のラーメンを作るためには、材料費300円+人件費200円+経費100円=600円のコストが掛かるイメージです。 300円の材料で作ったラーメンを1000円で売ってボロ儲けしているイメージとは、かけ離れていることが理解できるでしょう。