【103万円の壁】「いい湯だな」なんて暇はない、国民民主「バラマキ玉木」が戦う財務省の「理屈・屁理屈・腹話術」
(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表) ■ 朝5時過ぎに叩き起こされたあの騒動 【写真】「いい湯だな」の時代もあったみんなの党。自ら築いた「第3極」の解党をめぐり、報道陣の前で鬼の形相で抗議する渡辺喜美氏 「すぐに上京して欲しい」と朝5時過ぎに叩き起こされ、おっとり刀で上京したのが2017年9月17日。翌日が敬老の日で地元の敬老会をハシゴするのが恒例行事だったが、全てキャンセルした。 安倍晋三総理が衆院解散を決意したとNHKニュースは報じていた。 「希望の党」(2017年9月25日結党)の立ち上げを急がねばならん、と様々なシミュレーションをしながら都内の密談場所にたどり着いた。 聞けば、小池百合子東京都知事サイドが前原誠司民進党代表に投げていた「合併」話が上手くいきそうだという。これはヤバいと思った。 新進党以来、「切り貼り新党」が成功した試しがないからだ。私は民進党議員のネガティブリスト作成にとりかかった。 「小池さんは新進党のお化けに取り憑かれたな」と感じた。その2カ月前、小池知事は、自ら率いる「都民ファーストの会」が連合の組織内候補者を含む公認候補を多数当選させた実績がある。公明との連携も上手くいき、自公分断に成功した。 自民離党組(新生党など)・民社党・公明党・日本新党などを糾合した新進党の再来を彷彿とさせるものだった。小沢一郎氏が実質主導し、統一比例名簿のもとで創価学会や連合の全国組織を利用しながら再度政権交代を目指す試みは、3年で頓挫する。 国民が選挙(票)目当て、政党交付金(カネ)目当てに作られた「不純な政党」であることを見抜いてしまったからだ。 政党は「誰と組むか」の前に、「何をやるか」が大事である。 原理原則、理念と政策の一致は政党のバックボーン。その上で選挙ごとに大きくなる「純化路線」こそ王道だ。
■ 国民民主党は「第三極」? 「『排除されない』ということはございませんで、排除いたします。……安全保障、憲法観といった根幹の部分で一致していることが政党としての必要最低限のことと思います」 これは「排除発言」として有名になった小池さんの言葉。 新党「希望の党」結党時の記者会見(2017年9月29日)で、前原誠司代表の「民進党」を丸ごと吸収するのではなく、国家観で選別するという政党としては当然のことを言ったまでだ。 しかし、右と左から猛攻撃を受け、世論は上から目線の小池発言に猛反発。希望の党は急速に勢いを失い、「排除された」枝野幸男氏らの作った立憲民主党が直後の総選挙では大躍進。野党第1党となった。 私に言わせれば、「排除論」が原因ではなく、「民進丸ごと、所属議員は漏れなく希望の党に入れる」との姿勢を示した神津里季生連合会長に乗ったことが問題だったのだ。 希望の党は公示前の57議席から50議席にダウン。この時、希望の党で当選したのは、細野豪志・長島昭久の両氏(現自民)、泉健太・小川淳也の両氏(現立憲)、玉木雄一郎・古川元久の両氏(現国民民主党)ら旧民主党系が圧倒的であった。 小池さんは都知事を辞める気はなく、いきなり総理を狙っていたわけではないが、第2党どころか第3党になってしまった。 総選挙後の希望の党議員総会は大荒れに荒れた。小池さんは嫌気がさしたのか、共同代表を選ぶこととなり、玉木雄一郎氏と大串博志氏が代表選に立ち、玉木さんが圧勝した。 その後、希望の党はテクニカルな分党などの手続きを経て、自然消滅。玉木代表の率いる国民民主党(略称・民主党)は自動車・電力・ゼンセン・電機・金属などの民間労組を支持母体とした昔の「民社党」と同じような立ち位置となった。 結果として民進党は解体され、連合は事実上、分断された。 私の理解では、「第三極」とは「自民でもない」、「民主でもない」ダブルヘイターの受け皿で基本「しがらみがない」ことが特徴である。その意味では国民民主党は第三極ではない。 今回、国民民主党が大ブレークした背景は何か。