ゴールドマンやBofA、リスク移転商品の買い手の借り入れ精査
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ(BofA)などの米銀は、SRT(significant risk transfers=重大なリスク移転)商品への投資のために追加借り入れの計画があるかを開示するよう買い手に求めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。規制当局はSRTが金融安定への脅威になることを懸念し目を光らせている。
SRT購入を希望する投資会社によるレバレッジ利用に当局が懸念を示していることを受け、銀行はここ数カ月、マーケティングプロセスの初期段階に借り入れに関する質問を盛り込んでいる。
SRTは銀行がローンポートフォリオに関連するリスクを移転する取引の一種。SRTを購入する企業に資金を貸し付けるのも銀行であるため、信用リスクは銀行システムから出て行かず、システム内の別の場所に移るだけということになる。
非公開の情報だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、SRTを発行またはアレンジする銀行は従来よりも頻繁に、より正式な質問票を取引プロセスに追加している。機密保持契約など他の標準的な文言より前にレバレッジに関する質問が提示されるケースもあると関係者の1人が述べた。
事情に詳しい別の関係者によると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)はSRT投資家が他の米銀からの借り入れを利用して購入することを認めていない。他の大手米金融機関も同様のアプローチをとっているという。ブルームバーグは今月、BofAが約10億ドル(約1500億円)のローンポートフォリオに関連するSRTを検討していると報じた。
ゴールドマン、モルガン・スタンレー、BofAはコメントを控えた。
世界中の規制当局は、投資家が他の銀行から資金を借り入れてSRTを購入することによって、真の銀行リスクが覆い隠されることを懸念し、この慣行に疑義を呈している。
事情に詳しい関係者によると、欧州中央銀行(ECB)の担当者は最近、欧州の銀行が販売するSRTにおけるレバレッジ利用を監視していることを示唆した。米連邦準備制度理事会(FRB)を含む米国の銀行規制当局も、この問題に注目している。国際通貨基金(IMF)は、ストレスが高まった時にSRTが「負のフィードバックループ」を生み出す可能性があると指摘している。