阪神・岩崎がサヨナラ負け後に見せた表情と行動 1球が敗北につながる守護神の重責と重圧
「ヤクルト5-4阪神」(6日、神宮球場) こんな姿を見たのは初めてのように感じた。同点の九回に登板し、2死一、二塁から村上に中前適時打を許し、サヨナラ負けを喫した阪神・岩崎。三塁側ベンチに歩を進めると、すぐにはベンチ奥に下がらず、帽子を脱いでしばらく腕を組んだまま、無人の外野方向を眺めながら唇をかみ、苦虫をかみつぶした表情を何度も浮かべていた。 【写真】ぼう然と立ち尽くす岩崎 梅野は顔を合わせず肩をポンっ その後、ベンチ前の手すり部分に腰を下ろし、フーッと息を吹き出して気持ちを落ち着けようとする姿があった。左横には坂本が寄り添い、右手で岩崎の腰の辺りをポンポンと叩き、激務を労っていた。 岡田監督、コーチ陣、選手が三塁ファウルグラウンドを通って帰りのバスへ向かう中、ベンチ最後部に移動した左腕は、無言のまま右翼方向を見つめていた。時間にすれば数分だが、岩崎にとっては異例の行動。改めて1球が敗北につながる守護神の重責と重圧、失意の大きさを表しているように感じた。 九回2死一、二塁。フルカウント。打者は村上。無理に勝負せず、ボール球を振ってくれたら儲けものぐらいのラストボールで四球となって満塁。次打者の岩田、もしくは代打が考えられる川端、西川の勝負という選択肢もある中、バッテリーは直球勝負を挑み、打ち返された。 岡田監督は「まだ後ろでもええんやから。満塁にしても」と振り返ったが、岩崎は「選択に後悔はそんなにない。でも、結果が全てなんで」と語った。 3試合ぶりの失点。6月5日・楽天戦以来、17試合ぶりの黒星となる4敗目。チームは100試合を消化し、左腕は47試合の桐敷に次ぐ43試合目の登板だった。 だが、岡田監督は「いやいや、岩崎はそんな投げさせてないよ。はっきり言うて。他の石井とか桐敷に比べたら」と話した。桐敷には3日連続となる4試合連続登板、石井も3日連続登板1度を含む3試合連続登板が3度あるが、岩崎に3日連続登板はない。球数、登板間隔、疲労度などの要素を勘案して起用してきた思いがある。 痛い敗戦によって、首位・広島とのゲーム差は2・5に開いた。球団史上初のリーグ連覇に向かう残り43試合。ここからは、さらにヒリヒリとした戦いが展開される。岩崎だけでなく、石井、桐敷、ゲラ、漆原らの救援陣の奮闘なくして、唯一無二の目標を成し遂げることはできない。ひとつのヤマ場となる9連戦だ。(デイリースポーツ・鈴木健一)