浜松「鹿島の花火」復活へ動き 歴史150年、今夏見送り「伝統守りたい」 CFなどで資金調達
担い手不足などを理由に今夏開催を見送った北遠最大の花火大会「鹿島の花火」復活に向けた機運が、浜松市天竜区の事業者の間で高まっている。運営への参加を広く呼びかけたり、多様な手段で資金調達を計画したりしている。来年8月2日開催を目指し、活動を本格化させていく。 鹿島の花火の起源は1875年と約150年の歴史を有する。天竜川を明るく照らす光や山々にこだまする爆発音に特徴があり、多くの人に親しまれてきた。 コロナ禍で2020~22年は中止し、23年に規模を縮小して開催。今年は主催者の同区観光協会天竜支部が運営上の負担などを理由に開催見送りを決めた。 中止を受け、市民からの再開を望む声は強かった。7月に就任した山本光祐観光協会長ら有志は、地元の商工業者や金融機関、行政に呼びかけて「鹿島の花火実行委員会」を組織し、復活に向けた資金調達や運営体制づくりに乗り出した。 コロナ禍前の19年と同規模の4千発の花火打ち上げを目指すが、物価高騰で花火代や設営経費、警備の人件費などはいずれも上昇している。実行委は有料観覧席の拡大やインターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)などを実施するとともに、地域の各所に募金箱を設ける予定だ。山本さんは「広く募ることで、皆で花火大会を支えるという意識が生まれるはず」と狙いを語る。 実行委員には、花火大会会場と近接する浜名区の事業者が参加するなど、新たな顔ぶれが加わっている。川島正光実行委員長は「課題はあるが、できる限りの努力をして地域の伝統を守りたい」と話す。
静岡新聞社