「四十八漁場」リピーターが4倍に “友だち”が増えるモバイルオーダーは飲食店を変えた
スタッフへの「投げ銭」もできる
競合との差別化になっているモバイルオーダーの機能は他にもある。海外のチップ文化に類似した「推しエール」だ。各スタッフへのお礼として、顧客が100円~の投げ銭とメッセージを送ることができる。 推しエールを採用する店舗は徐々に増えており、全利用店舗の投げ銭総額が100万円を超える月もある。年間の投げ銭総額を表彰する「推しエールアワード2023」では、合計200回、総額10万円の推しエールを獲得した焼肉店のアルバイト店員が個人部門の1位になった。 「日本でチップ文化は根付いていませんが、顧客と店員のコミュニケーションを活性化できますし、従業員のスキルアップにもつながるだろうと。エールの回数を目標とする従業員も出てきて、お互いに切磋琢磨するような環境を築きやすいと思います」 推しエールを復興支援で利用しているところもある。2021年12月からダイニーのモバイルオーダーを導入している四十八漁場だ。例えば、石川県能登半島で地震が起きた際は、石川県で生産している日本酒を推しエールの対象とした。注文が入ったら投げ銭分の金額を能登半島に寄付するというもので、そこそこの金額が集まったそうだ。
四十八漁場は、販促効果が4倍以上に
ダイニーのモバイルオーダーの導入により、飲食店にどんな変化が起きているのか。エー・ピーカンパニーの横澤将司社長は「四十八漁場への導入において確実に成果を上げている」という。 エー・ピーカンパニーの親会社であるエー・ピーホールディングスでは、塚田農場など約40ブランドで150店舗ほどを運営しており、一部のブランドでダイニー以外のシステムを導入している。しかし、操作性への不満があった。 「他ブランドで導入しているモバイルオーダーは、UI(ユーザーインターフェース)は良いのですが、動作が遅い、不具合が改善されないなど操作性に課題がありました。その点、ダイニーは機能が明確で分かりやすいし、若い企業で将来性に期待できる点を魅力に感じました」(横澤氏) そこで、四十八漁場のDXにあたってダイニーのモバイルオーダーを採用。2021年12月の導入以降は、1日当たり約1.5人分の作業を削減できたほか、LINEの公式アカウントの友だちが約2万5000人から約20万人に拡大している。四十八漁場で事業部長を務める高畑智弘氏は「LINEを使ったマーケティング施策の成果が出ている」と話す。 「ダイニー導入以前は、LINEの友だち登録で1品無料のサービスを提供していましたが、登録数が伸び悩んでいました。導入後は自動で友だちが追加されるので、あっという間に10万人を超え、現在は20万人近くに。LINEでの販促における反応が明らかに異なり、販促による再来店率は4倍以上に増加しています」(高畑氏) 友だち登録後にブロックする人やメッセージを開封しない人もいるが、それでも母数の増加により手応えを実感しているという。その後、2024年4月には塚田農場の直営店66店舗にもダイニーのモバイルオーダーを導入している。