「ルフィ」名乗る指示役の広域強盗事件 “闇バイト”実行役の凄惨な犯行 「死刑がふさわしい」法廷で涙ながらに語った後悔
「犯罪の道でしか…」指示役に対する憧れも
その後も「犯罪のことしか考えていなかった」という永田被告は、「キム」から“別の案件”として東京・足立区での強盗事件を提案され、狛江で事件を起こした翌日に現場へと向かった。 この事件では永田被告は実行役としてではなく、運転・監視役として参加。その理由について、永田被告はこう話す。 永田被告: 広島で起こした事件で(被害者が)意識不明になって、狛江の事件では死んでしまったというのをニュースで見て「現場に行って殺すつもりじゃなかったのにこうなった、俺のせいじゃん」と思いました。自分が行ったらまた同じことになるんじゃないかと思いました。もし自分がリーダーじゃなかったらこんなことになってなかったかな、と思いました。だから実行役は嫌だなと思いました。 広島の事件を起こして以降、「犯罪の道でしか生きていくことができない」と考えていた永田被告は「犯罪の胴元、キムのような指示役になろう」という思いを深めていたという。 しかしその思いは達成されることはなかった。 永田被告は東京・足立区の現場付近で、実行役らを車から降ろし待機していたところを警察官から職務質問され、逮捕された。
「死刑がふさわしい」涙ながらに語った後悔
数々の犯行について「被害者の気持ちを一切考えずにやった」と語った永田被告だが、その心境には変化もあった。 永田被告: 強盗殺人は無期または死刑で最低30年は刑務所にいると聞いたので、死んだ方がマシだと死刑を目指しました。 当初、事件の取り調べの中で反省を示さず悪い態度をとることで「死刑を目指した」という永田被告。しかし、捜査員や拘置所職員との関わりのほか、犯罪被害者や加害者家族に関する本や面談などを通して「被害者が失ったものの大きさを考えるようになった」という。 そして法廷では声を詰まらせながら次のように語った。 永田被告: 広島の被害者の調書に、息子は飲みに行くことや釣りやテニスが好きだったのに今はもうできなくなっている。未来を奪った犯人を許せない、と書いてあった。悔しくて悔しくてたまらない、と述べられていました。 言葉にならないです。ごめんなさいしか言えないです。 また、最初に犯罪に手を染めたのは中学時代という永田被告は、裁判員から後悔していることを聞かれ、涙を流しながら次のように答えた。 永田被告: 中学一年生が分岐点です。やり直せるなら中一に戻ってやり直したい。こんなに人のことを傷つけるだけの人生なんて嫌でした。 検察側は論告で「組織性・計画性が高く、極めて残虐な犯行」と指摘したうえで、「平穏な生活を突如奪われた被害者の恐怖、無念さ、苦しさは計り知れない」などと述べ、永田被告に無期懲役を求刑した。 一方、弁護側は、永田被告が借金返済のため「闇バイト」に応募したと説明した上で「指示役が実行役をわずかな餌で釣り、大きなリスクを負わせ駒として利用していたことは明らか」などと訴え有期刑を求めた。 そして永田被告は最終意見陳述で、自らの量刑について「死刑がふさわしい」と涙ながらに語った。 永田被告: 極刑を強く望みます。責任を果たすには死刑が一番ふさわしいと強く望みます。 また裁判員に対しても次のように訴えた。 永田被告: 裁判員裁判は被害者の被害感情が一番尊重されます。被害者の本当に苦しんでいる気持ちをよく踏まえた上で判決を下してください。私は日本の裁判制度に不服があります。加害者の人権に重きを置かれすぎていると思います。被害者の遺族の気持ちを踏まえたうえで、極刑を下してください。そのことを心からお願い申し上げます。 判決は11月7日に言い渡される。 (社会部司法担当・空閑悠)
空閑 悠
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