被害女性の代理人弁護士をつとめる指宿昭一氏（左）。

ベンチャーキャピタル（VC）業界のハラスメント問題が次々と明らかになっている。 女性起業家らを対象に調査し、アイリーニ・マネジメント・スクールが7月の公表したアンケート調査では、「過去1年間にハラスメント被害を経験した」と回答した女性起業家は52.4％と過半数を超えていた。 【全画像をみる】ジャフコ“首絞め”セクハラ告発。弁護士が会見「業界の体質に問題」と指摘 またNHKの報道では「『投資するから愛人関係になろうよ』と言われた」などと被害を実名で告発するなど、社会問題化している。 そして今回、独立系ベンチャーキャピタル（VC）国内大手のジャフコグループでも、40代の元社員の女性が、社員2人からセクハラやパワハラにあったとして、ジャフコに対して慰謝料などを求めている。女性の代理弁護人が10月11日、記者会見を開いた。 記者会見に参加した弁護士の指宿昭一氏は「女性投資家や労働者に対するセクハラが横行している。ジャフコが法的責任を否定し、法的責任に基づく対応も否定しているのは重大な問題だ」と指摘した。 また指宿氏は、ジャフコも加入している業界団体・日本ベンチャーキャピタル協会に対しても対応が必要だと訴えた。

男性2人に胸を触られるなどの被害

被害女性の代理人弁護士によると、女性は2018年から、2年間の有期雇用としてプロジェクトリーダーとしてジャフコで働き始めた。入社後、プロジェクトで関わりのあった男性社員Bから、夜中に何度も電話がかかってきたり、つきまとわれたりしたという。また投資ファンドの運用責任者を務める男性社員Aからは、飲み会の席で「好きでしょ、こいつとやって」などとセクハラ発言を受けたという。 またAとBの2人から、マフラーで首を絞められたり、胸を触られたりする被害にあい、女性は会社に被害を申告した。会社側はセクハラなどを認め、男性社員AとBは出勤停止と減給処分を受けた。しかしその後女性は退職勧奨にあったり、給与について、従来の半額（約600万円）に減額されたりし、約1年間の休職をした後、雇い止めになったという。 女性は男性社員AとBの間では、賠償金の支払いと謝罪を受け、和解が成立している。 一方でジャフコに対しては、「安全配慮義務違反に基づく損害賠償」や不当に雇い止めされたことによる「賃金請求」などを求めている。 ジャフコ側の代理弁護人（西村あさひ法律事務所）は、「安全配慮義務違反に基づく法的責任は認められない」、雇用契約の終了については「欠勤により業務をほとんどおこなっていなかった等が理由であり、ハラスメント行為とは一切関係がない」と主張している。 今後、女性側の代理弁護士は、会社側を提訴することも視野に入れているという。 女性の被害は2018年～2020年のことだが、会社側の責任を追求するために声を上げた理由について、弁護士によると、次のように説明しているという。 「同様の被害を受けている方がこの会社だけでなく、この業界に他にもいる」 「今回の会見によって会社が問題の重大さを認識し、対応していただけるようにお願いしたい」