59歳で退職間際の会社員。退職金「2000万円」で不労所得がほしいのですが、株で「月3万円」を得るなら、いくら買う必要があるでしょうか?
<図表1> 年間36万円(月3万円)の配当金収入に必要な利回りと株式の総額(筆者作成)
「株を保有するだけ」にリスクはないのか?
配当金を分配している株式であれば、保有するだけで「インカムゲイン」を定期的に得られます。それではこの投資手法にリスクはないのでしょうか? 売却を伴わないため、一見リスクは少ないようにも感じますが、実は大きなリスクが存在します。 まず、株式である以上、日々の株価の変動による損失、いわゆる「キャピタルロス」のリスクは避けられません。例えば、年間36万円配当金を得られたとしても、毎年株価がそれ以上下落すると、トータルで見た資産は減少してしまいます。 また、配当金は決算ごとに決められます。企業業績が悪化すれば、配当金が減額されてしまう「減配」や、配当金がなくなってしまう「無配」になる恐れは常にあります。投資する企業の収益性や株主への還元姿勢などを見極めて、個別の株式を選ぶ必要があることから、決して簡単な投資とは言えないでしょう。 むしろ、投資信託などを利用したインデックス投資などに比べると、難易度の高い資産運用手法とも言えます。そのため、退職金が出たからといって、目先の配当金ばかりを考え、一気に利回りの高い株式に偏って投資するのは、あまりおすすめできません。
まとめ
配当金のある株式を保有すれば配当金が得られ、さらに一定以上の利回りの株式であれば、1000万円以下の投資でも月3万円の不労所得を手にすることは可能です。しかし「高配当株」と呼ばれる個別の株式への投資は、銘柄選びをはじめ難易度が高く、一定のリスクがあります。 いずれにしても、本記事で紹介した方法以外にも、資産の運用には多様な手法があり、それぞれのリスクが付きまといます。今後、退職金など大きな金額を得る機会がある人は、どのように運用すればいいのか、これを機会に考えてみてはいかがでしょうか。 執筆者:松尾知真 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部