能登半島地震、政治とカネ……国会これからの議論
まずは、復興費用の問題。2023年度予算からの予備費約47億4000万円の支出が先週、閣議決定されました。これまでのプッシュ型支援など、現時点でかかっている費用を充てたものとみられます。寒冷地対策も加味し、熊本地震の際のほぼ倍額となりました。さらに追加で1000億円が支出される方向です。2024年、新年度予算案で予備費を5000億円から1兆円に増額する方針も閣議決定されました。 今後は復興費用が補正予算や新年度の本予算に及ぶかどうかが議論となりそうです。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は、「震災の復興は長期で支えていかなくてはいけない。予備費だけではだめ。長期的にサポートするには特別会計のような予算でサポートしていくやり方しかない」と話しています。 また、自衛隊の災害派遣。発生直後には1000人でしたが、それが2000人、4600人、6300人と増えていきました。いわゆる「逐次投入」です。これについては人員が少なかったのではないかという指摘があります。岸田首相は「その指摘は当たらない。今回は大規模な部隊が現地に存在していなかった。半島という地理的条件、道路の寸断、そのなかで最大限の人員を投入してきた。人数だけで比較するのは適当ではない」と反論しました。 道路の寸断、海面の隆起により、自衛隊とはいえ陸路、海路による輸送やアクセスは厳しい状況にありました。そのなかで派遣のあり方が適切だったかどうか、論点になるでしょう。 そして、もう1つは原発です。今回の地震で震度7を観測した志賀町には、北陸電力志賀原子力発電所があります。地震により、変圧器が破損して油が漏れ、プールからも水漏れがありました。外部電源の一部も使えない状況となりました。停止中ということもあり、いずれも大事には至りませんでしたが、原発に批判的な立場からは、議論が再燃する可能性もあります。 その他、今回の地震では道路の寸断が続き、プッシュ型支援のあり方についても課題が見えてきました。津波対策もいま一段考えていく必要があるでしょう。いずれの課題も、「誰が悪い」というような批判的なものでなく、今回のことを教訓に、何ができるのかという視点での議論を望みたいところです。