二刀流・大谷を分析「今のままでは通用しない」
とんでもない才能とポテンシャル
異彩の天才児か。はたまた二刀流続行には、ハテナマークが付くのか。 大注目を集めた大谷のデビュー戦は、ホロ苦いものとなった。5回を投げて6安打3四球2失点。毎回走者を背負ったがゲームは作った。中田が8回に同点アーチ。大谷の負けが消え、結局、延長12回引き分けとなった。プロとして大成するために必要不可欠な運は持っているようである。 さて、大谷の86球である。皮肉屋の筆者は斜めから、このスーパールーキーを見てしまったのだが、札幌ドームの記者席からチェックしていた評論家で、WBC投手コーチだった与田剛に話を聞いた。 ――全体的な印象から聞かせて。 「ボールを見た途端に楽しみなピッチャーが出てきたなあと思いました。150キロを越えてくるボールをあれだけアベレージで投げることのできるピッチャーって、今、日本に何人いますか? 10代ですよ。とんでもない才能とポテンシャルを見せつけられました」
今のままでは勝負どころで通用しない
――阪神の藤浪と比べたらどう? 「藤波も同じタイプですが、制球、安定感は、まだ藤浪の方がありますね。ストライクゾーンで勝負できている。しかし、ボールの球質で言えば、しっかりと指にかかったボールは大谷が上だと思うんです。角度も大谷の方があります」 ――投球の8割以上はストレート。真っ向から攻めた。MAXは、157キロだったが、いいボールと、悪いボールのムラが大きかった。 「そこなんですよ。ひっかかったり、抜けたり、一定していませんでした。だから狙って空振りが取れていない。課題は多く出ましたね。下半身がバラバラで一定しない。フォームのバランスが悪い。だからボールのいい悪いが出るんですよ。その原因はハッキリしています。二刀流で投手としての投げ込みが出来ていないからです。でも、上半身は本当に柔らかく使える。指先の感覚は、ダルビッシュに近いセンスがあるんじゃないですか」 ――細かいコントロールはなかった。86球中、キャッチャーの構えたところと逆に来る「逆球」は、15球から20球は数えた。 「意図を持ったボールを投げることができずに、いわゆる配球ができませんでした。ストレートでも変化球でも、ストライクを取ることに四苦八苦してボールゾーンで勝負できるようなカウントも作れませんでした。シュート回転して、ミットに吸い込まれていかない。球威はあるけれど、キレのあるボールに見えないものもありましたね。今のままでは勝負のかかったところでは通用しないでしょうね」