二刀流・大谷を分析「今のままでは通用しない」
課題も多く練習不足も影響
――クイックもできない。初回、いきなりミレッジに走られ、5回にも、またミレッジにやすやすと二塁を与えた。二回二死から宮本に内野安打を打たれ、続く森岡にストライクが入らなくなったけれど、あれは、無理にクイックにしたからでしょう? 「そう。まだクイックについてはできてませんね。本来、走者は宮本なんだから無理なクイックは必要のない場面でした。でも、そこに気を取られて打者に集中できない。そのあたりも投手としての練習不足からきた影響でしょう」 ――現役時代の与田には155キロを超えるストレートに加えてウイニングショットとなる140キロ台の高速フォークがあった。大谷の球種はストレート、スライダー、カーブ(2球程しか投げていない)と少ない。プロ初三振は、バレンティンから消えるようなスライダーで奪ったが、ウイニングショットと呼べる特殊球がない。 「今日はあまり投げませんでしたが、大きなカーブをうまく混ぜていければ、今の球種でウイニングショットとなるボールを引き出せていけると思うんです。そういうボールを使えるカウントに追い込んでおくことでしょう」 ――評価が高いね。僕は、やはり二刀流は、無理という結論なんだけど? 「いえいえ。私は、まだまだ両方を見てみたいと思う。だって、二刀流投手のデータってないんですから。何十年に1人の逸材が、大変なことをやっているんです。彼は今日大きなものを得たと思いますよ。怪我もあったりしてピッチャーとしての練習は少なかったんでしょうね。そのあたりは見直していけばいいことで、なにより本人のフィーリングを大切にして、二刀流のどちらも一流に近づけて欲しい」
二刀流 結論を出すのは早い
――あえて、どちらかを選べと言うならば? 「どこかで限界にぶつかってしまったら、僕は投手でやって欲しい。打者として3割、20本の打者を目指すよりも、すでに一流の輝きを見せてくれた投手の方が、ナンバーワンになれる可能性を秘めていると思うんです。でも、結論を出すのは早い。栗山監督も二刀流の最大のリスクは『怪我や故障』と言われていたけれど、そこに気配りをしながら、球団のバックアップを受けながら、今後、練習を工夫してレベルアップしていって欲しいと思うんです。次の登板が楽しみじゃないですか?」 一方で、オリックス、阪神で監督を務めた岡田彰布氏や、元阪神スコアラーの三宅博さんのように「投手は無理。一日も早く野手転向すべき」という意見を持つ人もいる。 三宅さんは、阪神時代にノムさんが、投手に挑戦させた新庄剛志を思い出したという。 「ボールの質は野手のそれに近い。新庄も145キロ以上を出したが、球質に投手のキレはなかった。大谷君はフォームにしてもタイミングをずらすというものもない。これから、そういうものを身につけるには二刀流は時間が足りない。無理だと思う。先輩の糸井のような野手として大きく育つ方向に踏み出せばいいと思う」。 ハッキリと、野手転向説を掲げる。“外野席”というのは、何かと勝手なものだが、はてさて、大谷投手、栗山監督は、今後、どういうロードマップを描くのか。 (文責・本郷陽一/論スポ)