富士山頂まで3泊4日 海抜0メートルから登る「ルート3776」とは?
富士山は7月に開山しいよいよ夏山登山シーズンを迎える。どのルートから富士山に登るのかも富士登山の楽しみの一つ。一般的なルートとして、富士宮、御殿場、吉田、須走ルートがあり、また、歴史的登山道として富士山村山道が知られているが、最近になって登場したルートとして「ルート3776」なる登山ルートがあるのをご存じだろうか。「ルート3776」とは?
「富士山と海の両方をのぞめるのは富士市だけ」 ── こう話すのは富士市職員。「ルート3776」とは、その富士市が設定した登山ルートなのだ。富士山があり、唯一、海に接している市の特徴を生かし、海抜0メートルの地点から富士山頂を目指すのが特徴だ。 その出発地点は、駿河湾田子の浦港沿いの富士塚もしくは「ふじのくに田子の浦みなと公園」。富士塚は、登山者が浜で身を清め、登山の安全と無事を祈願して浜から拾ってきた小石を積み上げてできたとされ、2015年に市が行った調査では、内部から江戸時代半ば頃の陶器が発見されたという。
ルート3776は、駿河湾田子の浦港を出発し、富士市街を抜けて林道に至り、林道をひたすら歩いた後、富士山スカイラインに到達。しばらく富士山スカイラインの脇道を歩いて富士山自然休養林コースに至る。富士山スカイラインまでは舗装道を歩くが、富士山自然休養林コースからは山道に。その後、富士宮ルートの六合目に合流し、その後は富士宮ルートで富士山頂に至る。ちなみに富士宮ルートの場合、五合目まで車でのぼり、そこから登山をするのが一般的だ。 ルート3776の総距離は41.8キロメートル。富士山頂まで3泊4日を要し、温泉施設やキャンプ場を利用して寝泊りする。富士市が設定したルートだけにほとんどが富士市内を通るが、林道から富士山スカイラインの区間は富士宮市を通っていく。富士市は、2015年の開山に合わせてルート3776を設定し、標示を設置するなどして登山ルートとして整備。昨年は利用者を把握する目的でスタンプラリーを実施、頂上まで登ってルート3776を制覇した人の数は85人だったという。 ただし、あくまでも申告した人の数のため、実際の登頂者数はさらに多いと市はみている。3年目となる今年は、1人でも多くの人に利用してもらおうと、ルート3776への挑戦者をサポートするサポーターも募集してPRに努めている。 「夏山の期間、リュックを背負った人をたくさん富士の街で見かけるようになったら嬉しい」と市担当者。ただし、3泊4日にわたる登山となるため、それなりの装備を準備し、登山計画書を提出の上、挑戦するよう呼び掛けている。登山計画書は、スタート地点の富士塚、ふじのくに田子の浦みなと公園に投函用のポストが設置されているほか、市の富士山・観光課でメール、FAXにて受け付ける。我こそはと思う方は、開山に向けて今から準備を整えて挑んでみてはいかが?