ウクライナ軍がポクロウシクに新編の機械化旅団を増援 迫る大攻撃から要衝を守れるか
ポクロウシクのクリスマスは薄気味悪いものだった。ウクライナ東部ドネツク州の交通の結節点であるこの都市には、2022年2月にロシアがウクライナに対する全面戦争を起こす前、およそ6万人が暮らしていた。いまでは、ウクライナ軍の軍服を着ていない人はほとんど残っていない。 【画像】レオパルト2戦車などを引っ提げたウクライナ軍の陸軍第155独立機械化旅団 「街には嫌な感じの静寂が漂っています」とウクライナ人ボランティアのデニス・フリストウは、エストニアのアナリストであるWarTranslatedが紹介・翻訳している投稿で語っている。「嵐の前の静けさです」 この嵐には名前がある。ロシア陸軍第90親衛戦車師団だ。計数十個の旅団や連隊で構成される2個野戦軍、総勢7万人ともみられるロシア軍の強力な地上兵力の中核をなす部隊である。これらの軍勢は2025年初めにポクロウシクを占領することを目指し、この要塞都市に迫っている。 ポクロウシク方面のウクライナ軍守備隊ははるかに規模が小さい。おそらく、各最大2000人規模の12個足らずの旅団だ。だが、ここへきて彼らはきわめて重要な支援を得ようとしている。 ウクライナ軍の最新旅団のひとつである陸軍第155独立機械化旅団が、ドイツ設計のレオパルト2戦車やフランス製のカエサル自走榴弾砲を引っ提げてポクロウシク近郊に配備され始めたという証拠がある。第155機械化旅団は最近までフランスとポーランドで訓練を行っていた。 ロシア軍はポクロウシクに対する攻撃に着手しようとしている。最も近いロシア軍部隊は市までわずか6km強の地点にいる。 ロシア軍は現在、ロシア西部からウクライナ南部まで、1300km近くにおよぶ戦線の各方面で攻撃を行っている。ロシア西部クルスク州での攻撃にはそれ独自の目的があるが、ほかの方面の攻撃はどれも、来るポクロウシク戦と緩やかに関連していると言えるかもしれない。 ウクライナのシンクタンクである防衛戦略センター(CDS)は、ポクロウシクの南側にいるロシア軍部隊が前進を図っているのは市の南側に防御線を形成するためだと分析している。この新たな防御線ができれば、そのさらに南にいるウクライナ軍部隊は、ポクロウシクを増援したり市の攻囲を解いたりするのを阻まれるおそれがある。