【神宮大会】史上5校目の「4冠」達成の青学大 3年生右腕・中西聖輝が快投を継続できた理由
来年は絶対的エースとして
なぜ、中西は快投を継続できたのか。 「渡部(渡部海、2年・智弁和歌山高)と2人で、築き上げてきたものがある。研究熱心ですし、声がけも高校時代よりもガツガツと言ってくるようになりました。お互いずっとコンビを組んできたので、悪い部分も指摘し合える」 中西は3年夏の甲子園で21年ぶり3度目の全国制覇を遂げているが、当時からバッテリーを組んだのが、1学年後輩・渡部だ。中西の持ち味は「気持ちを前面に出し、相手に1ミリでも流れを渡さない」。全幅の信頼を寄せる司令塔との共同作業で初めて完成する。 頼りになる4年生が卒業し、今度は3年生・中西が最上級生の立場になる。どんな先輩になっていくのか。 「自分はワチャワチャするタイプではありませんので、プレーで示して、チームを勝たせる。チームとしては、4冠が目標。安藤監督を日本一の監督にする。最強世代をもう一度、築き上げたいと思います」 創価大との決勝は9回完投するつもりだったが、9回表に代打が告げられた。打席に立ったのは4年生・西川だった。一塁ベンチの中西は思わず、身震いする光景が広がっていた。 「球場に立っただけで『やっと出てきたか!!』というムードに。自分も球場に吸い込まれるようなスーパースターになりたい。西川さんを見て、率直に思いました」 青学大は23年に3人、24年は2人がドラフト指名を受け、いよいよ、中西も25年にドラフトイヤーを迎える。 「プロ野球選手になるのが夢。死に物狂いで努力して、同じ舞台に立てるようにしたい」 ストレートの質、変化球の精度とも申し分なく、今年は「勝てる投手」であることを証明した。チームの合言葉は、青学大OBの四之宮洋介元コーチ(日産自動車ヘッドコーチ)が発信した「10連覇」。再び「4冠」を照準に合わせる25年は、秋には東都最長タイの6連覇がかかる。もちろん、春の5連覇を遂げてからの偉業挑戦となるが「ぜひ、達成したい。負けたくないです」と中西は決意を語る。4年生となる来年は絶対的エースとして、青学大の黄金時代を継承していく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール