【南井克巳元調教師 豪腕の視点】勝負どころでペースが上がり、好位レガレイラの切れが生きた
「有馬記念・G1」(22日、中山) ファン投票1位のドウデュースが決戦2日前に出走取消。一気に混戦模様となった今年のグランプリを制したのは5番人気のレガレイラだ。シャフリヤールとの壮絶なたたき合いを約18センチ差で制し、1960年のスターロツチ以来、64年ぶり史上2頭目となる3歳牝馬Vを飾った。3着には2番人気のダノンデサイルが逃げ粘り、1番人気の支持を受けたアーバンシックは6着に敗れた。 ◇ ◇ 普段行かないダノンデサイルがハナを切る競馬。こうなると自然とペースは遅くなりますよね。4コーナーでも余力十分だったので“これは勝つな”“ベラジオオペラと前の2頭で決まるな”と思って見ていたのですが、勝負どころで一気にペースが上がっていた分、最後で粘り切れませんでした。切れ味のある馬の持ち味が生きる形になりましたね。しかし、内枠だったので2、3番手で競馬をするとは思っていましたが、逃げるとは思いませんでした。菊花賞を踏まえて、(横山)ノリちゃんは完璧に乗っていたと思います。 勝ったレガレイラは好位の5、6番手にいて、いい位置で競馬ができていました。仕掛けてからもしっかりと伸びていましたし、最後はたたき合いになりましたが、54キロの斤量も生きたと思います。3歳牝馬で牡馬や古馬を相手に勝つんですから。64年ぶりですか?本当にすごい馬です。 2着のシャフリヤールは大外枠で難しかったと思いますが、ペースの緩んだ向正面で積極的に位置を上げていきましたよね。いいところで動きましたし、あれが良かったです。状態も良かったのでしょう。さすがはダービー馬。力があります。 6着に敗れた1番人気のアーバンシックはスタートで出負けする形。ルメールは早めに内から押し上げようとしましたが、道中はもまれる形になってなかなか外に出せませんでした。きょうは難しい競馬になりましたね。これがこの馬の力ではないと思います。 いずれにしろ、ドウデュースがいれば全く違う競馬になっていたでしょう。勝負どころであの馬が後ろから仕掛けていたら、どうなっていたのか-。そんなことを思った有馬記念でした。(JRA元調教師)