奄美野生動物医学センターが開所 群島初の治療研究施設 奄美市名瀬
野生動物の治療やリハビリ、学術研究を目的に今年1月に設立された「奄美野生動物医学センター(AWMC)」(新屋惣センター長)の開所式が2日、鹿児島県奄美市名瀬石橋町の同センターであった。関係者によると、野生動物に特化した治療研究施設の設立は奄美群島内では初。獣医学の知見を生かした治療研究をはじめ、奄美の野生動物に関する情報発信や人材育成などに取り組む。 AWMCは、奄美で鳥獣治療や救護活動を行う「アマミベッツメディカ」(本社・奄美市名瀬)が運営。資金はスポンサー企業が社会貢献活動の一環として支援する。 施設には入院用の飼育室7部屋があり、手術台やインキュベータ、整形外科ドリルなどを完備。スタッフは獣医師と動物看護師各1人。来年度からは獣医師2人が加わり、4人体制で業務に携わる予定だ。 活動の柱は①傷病野生動物の救護②学術研究③教育・啓蒙。治療・リハビリ技術を高め、野生復帰率を現状の3割から5割に上げることなどが目標。野生復帰が難しいと判断された個体を適切な環境下で管理する「終生飼育」にも取り組む。2~3年以内をめどに屋外飼育施設の増設も計画しており、将来的には施設の動物園化も見据えている。 開所式には施設スタッフや環境省、奄美市世界自然遺産課の職員など関係者が出席。新屋センター長(31)は施設の役割や活動目標などを説明しつつ、「われわれだけではできない。いろいろな関係機関や一般の島民の方も含めてご協力いただきたい」と話した。このほか安田壮平奄美市長らが祝辞を述べた。 同センター業務は24時間体制。保護対象となる動物は、外来生物や有害駆除されている種を除いた哺乳類と鳥類。一般からの保護報告や治療相談も受け付けている。