在任15年の公明・山口代表 消えぬ続投論 後継候補の石井氏に課題も
今国会の会期末が23日に迫り自民党内の関心が秋の総裁選に集まり始める中、連立を組む公明党の山口那津男代表(71)も同時期に任期満了を迎える。次期代表の有力候補には石井啓一幹事長の名前が浮上しているが、党内では次期衆院選などをにらみ山口氏の続投論も消えていない。 「政権は安定してこそ、良い政策を実行できる」。山口氏は12日のラジオ日本の番組で、報道各社の世論調査で低迷する岸田文雄内閣の支持率を踏まえ、早期の衆院解散に慎重な考えを重ねて示した。 また、9月に2年間の代表任期満了を迎えることに関連し、次期代表を選出する党大会の時期を遅らせる可能性にも言及。「新しい(自民)総裁の下で解散が行われる可能性もある。その前に(公明代表が)突然代わって党自身の力を結集できるのか」と述べ、衆院選が終わるまで続投する構えも示した。 代表在任期間が9月で15年となる山口氏を巡ってはかねて勇退論が取り沙汰されていた。後継と目されている石井氏は東大工学部出身の当選10回。党政調会長や国土交通相などを歴任し、誠実な人柄が与野党議員の信頼を集めている。 一方、遊説先で支持層から「なっちゃん」コールが沸き起こる山口氏に比べ、「党首としては地味」との評価が常に付きまとう。公明関係者は「石井氏は有能だが、話が面白くない」と語る。 代表就任への最大の障害となりそうなのが次期衆院選だ。石井氏は比例代表北関東ブロックから埼玉14区に移ることが決まっているが、自民派閥のパーティー収入不記載事件が招いた与党不信の高まりで苦戦も予想される。事件を受けた政治資金規正法改正を巡る与党協議で石井氏が十分に存在感を発揮できなかったのは、地元での活動を重視したためだとの見方もある。 別の公明関係者は衆院選落選で党首を退いた太田昭宏前代表を念頭に「代表になるには選挙に勝たないといけない」と指摘した。党内が山口氏続投に傾く可能性はまだあるようだ。(長橋和之)