映画『ウィキッド』は歴史的大作たちと同じ軌跡を辿るのか?
『グラディエーター』 (2000)
興行収入:4.66億ドル じわじわと盛り上がりが加速後、この映画はアカデミー賞5部門を受賞した。 『グラディエーター』の第73回アカデミー賞での作品賞受賞は、1949年の『オール・ザ・キングスメン』以来、監督賞も脚本賞も受賞しなかった初めての作品となった。2000年第2位の全世界興収4億6,550万ドルを記録したラッセル・クロウ監督作品であり、そのスケールの大きさからアカデミー賞では優位に立った。 「公開当時は必ずしも受け入れられなかった。公開当時は、安っぽい剣とサンダルの時代遅れの作品と見られていました」とシュルマンは言う。「長い間自分たちがやってきたことを思い出させたことで、業界は興奮したんだ。史劇『ベン・ハー』や『スパルタカス』を思い起こさせ、そのジャンルの復活に人々をわくわくさせた」。『グラディエーター』は公開後しばらくしてから、徐々に盛り上がりを見せた作品。 『グラディエーター』が獲得した5つのアカデミー賞受賞は、2024年の後継作『グラディエーターII』にも良い結果をもたらすかもしれない。
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』 (2003)
興行収入:11億ドル シリーズ三作目は前二作の興行収入を上回り、アカデミー賞では11戦11勝。 『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の最初の二作が作品賞を受賞していないにもかかわらず、2003年の『王の帰還』が第76回アカデミー賞にてオスカーを受賞。これにはニューライン・シネマの劇場マーケティング担当社長だったラッセル・シュワルツも驚いた。 2014年、彼は『ヴァニティ・フェア』誌にこう語っている。「これはファンタジー映画であり、ファンタジー映画が作品賞を受賞したことはありませんでした」。 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、ノミネートされた11部門すべてで受賞し、授賞式を席巻した。ヒット作『ロスト・イン・トランスレーション』、『ミスティック・リバー』、『シービスケット』、『マスター・アンド・コマンダー』らを抑えての受賞となった。 シュルマン監督が 「ベストピクチャーにふさわしい映画」と呼ぶ『シービスケット』や『マスター・アンド・コマンダー』を抑えての受賞は、おそらくこの作品が世界興収11億ドルを突破し、2003年最高の興行収入を記録した作品であることを物語っているのだろう。これに対し、2001年のシリーズ第1弾は8億8700万ドル以上、2002年の『二つの塔』は9億3600万ドルの興行収入を記録している。 『ロード・オブ・ザ・リング』と『オッペンハイマー』の大ヒットの間に20年の隔たりがあったことは、映画芸術科学アカデミーの商業的成功に対する嫌悪というよりも、業界が現在どのような作品を好んでいるのかということを物語っている、とシュルマンは考えている。 「ハリウッドのスタジオが作ってきた映画の種類を物語っている」と彼は指摘する。「過去20年間、業界はコミック本の超大作と小規模なアートハウス映画に二分されてきた。その中間はあまりなかった」 映画『ウィキッド』への評価、そして公開以来の好調ぶりをふまえると、これらのレジェンド映画たちの仲間入りも夢ではないかもしれないが、その未来は如何なるものに。 ※本記事はオリジナル記事から抄訳・要約しました。翻訳/山中 彩果