発走機についている瞬間は「死にに行く覚悟」 パリ五輪後、太田りゆの次なる目標は競輪祭での優勝
――「オリンピアン」と言われることは、どんな気持ちなのでしょうか。 すごくうれしいです。だからこそ、オリンピアンとしてのプライドは持っています。オリンピックに出場したことがどれだけ価値のあるものか、東京大会で出られなかった経験も踏まえて、すごく理解できるからこそ、そこは大事に持っていたいと思っています。 【自分を信じきりたい】 ――競輪祭で勝利のポイントとなるのはどんなことでしょうか。 周りの選手を意識しすぎず、自分の長所を生かしたレースができれば勝てると思います。警戒すべき選手は何人かいて、みんなの注意も散らばると思うんです。その間を突いていけたらいいですね。私はその人たちを気にせずやりたいと思っています。 ――課題としていることがあれば教えてください。 大事なところで獲りきれないことです。自分を信じきれていないから、ちょっとした自信のなさから微妙な動きをしてしまうことが多かったと思います。絶対に大丈夫という自信を持ったうえでレースをするのが、競輪ではすごく大事になってくると思うから、そこは課題かなと思います。 ――やはり気持ちの部分が大事なんですね。 複数でレースをする競輪は絶対に大事ですね。ナショナルチームのブノワ・ベトゥコーチにメンタルの強さをすごく強調されました。命をかけるくらいの気持ち、国を背負ってやるんだという気持ちの大切さは、今ではすごく理解できます。 ――あらためて競輪祭ではどんなレースを見せたいですか。 日本代表を引退しても、競輪選手としてやっぱり強いな、今後も楽しみだなと思ってもらえるようなレースをしたいですし、グランプリの権利争いにも名乗りを上げていきたいと思っています。そういうところも楽しみに注目してもらえたらうれしいです。
【Profile】太田りゆ(おおた・りゆ)1994年8月17日生まれ、埼玉県出身。中学・高校と陸上競技の中距離選手として活躍し、大学時に競輪学校の試験を受けて合格。2016年に入学すると在学中にナショナルチームから声がかかり、2017年2月のアジア選手権大会のチームスプリントに出場し3位となる。その後も数々の国際大会に出場して結果を残し、2022年、2023年のアジア選手権女子スプリントで連覇を達成。パリ五輪では女子ケイリン日本勢歴代最高の9位となった。ガールズケイリンでも活躍し、いくつかのビッグレースで決勝を走るなど、屈指の実力を誇っている。
text by Sportiva