50歳から運動に挑戦。太極拳にダンベル体操…身体を痛めて辞めてばかり。理想の運動に辿りつくも、思わぬ敵が現れた
厚生労働省が発表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、成人は歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)、高齢者は1日40分以上(1日約6,000歩以上)が推奨とのこと。平均寿命が延びる中、健康のためにエクササイズなど身体を動かす機会を増やそうと考えている人も多いのでは。体のあちこちの衰えに抵抗すべく、いざ立ち上がってはみたものの…… 細田久美子さん(仮名・群馬県・パート・57歳)は――(イラスト:サノマキコ) 【漫画版はこちら】 * * * * * * * ◆腰のあたりから嫌な音が 人生後半をイキイキと過ごすには、やはり体が資本。それならば前から気になっていた太極拳を始めようと、50歳の時に市が主催する太極拳講座に申し込むことにしました。 太極拳はゆっくりとした動作ですが、腹式呼吸で行うため自律神経が整い、片足でバランスをとる動きによって筋力の向上も見込めるとか。 「たいして体力を使わずともいい運動になるなんて、ぐうたらな私にぴったりではないか!贅肉も落ちるはず」と、これからの日々を想像してワクワクしていました。 ところが当日、講師を見てびっくり。その姿は超肥満体形で、どう見ても不健康そう。想像とのギャップにとまどいながら、体ほぐしのジョギングやストレッチに加わるも、これが延々終わらない。結局この日は、最後の5分間だけ講師の盆踊りのような太極拳を見て終了した。 その後も太極拳らしい動作を教わることはほとんどなく、気分もやる気も下がる一方。年会費を納めてしまった後だったので辞めるに辞められず、渋々通い続けていたものの、ある日、2人1組のストレッチで相手の男性に思いっ切り腕を引っ張られ、腕と肩を痛めてしまったのです。
謝罪もないし、いつまで経っても痛みは治まらない。整形外科に行くと、なんと「五十肩」との診断。絶対安静を言い渡され、太極拳は断念することになりました。 数ヵ月が経ち、痛みを感じなくなった頃、家のポストにダンベル教室のチラシを発見。確か「五十肩は、回復してきたら意識して動かしたほうがいい」とどこかで聞いたことがあります。これも何かの縁、と感謝しながら入会を決めました。 嬉々として教室に向かった初日、ダンベルを握って体を動かしていると、背骨あたりに激痛が。まだリハビリには早すぎたかと思いましたが、幸い併設している体操教室に変更してもらうことができたのです。 体操教室ではストレッチを中心に行っているようで、腕や肩に負担がかからない動作だけやればいいと説明を受け、ひと安心。さっそく開脚ストレッチをしていると、同じクラスのおじいさんがそばに来て、「若いんだから、こんなもんもできないと困るぞ」と一言。 ムッとして怒りにまかせて体を勢いよく前に倒すと、腰のあたりから嫌な音が。腰は痛いわ、年上の受講生たちに笑われて恥ずかしいわで、退会することにしました。