新型コロナ専門家会議が会見(全文1)医療供給体制の強化が喫緊の課題
医療崩壊とオーバーシュートは同義ではない
そこで、少しここで1つ強調させていただきたいことがあるのは、今まで一部には医療崩壊とオーバーシュートが同義語、医療崩壊すなわち、イコール、オーバーシュートというふうに解される向きが一部あったと思いますが、しかし実際には新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繁に報告されている現状を考えれば、爆発的感染が起こる前に、つまりオーバーシュートが起こる前に、かなり前に医療供給体制の逼迫、医療体制の限度を超える負担が掛かって医療現場の機能不全に陥ることが予想される。つまりもう一度申し上げますと、医療崩壊といわれる現象はオーバーシュートが起こる前に起きるんだということを強調させていただきたいと思います。 さて、オーバーシュートといっても何か、いったいなんなのかということが、多くの人が疑問だと思うので、一応、オーバーシュートの定義というものを今回、書かせていただいています。オーバーシュートというのは欧米で見られるように、爆発的な患者数の増加のことを示していますが、2ないし3日の間に累積患者数が倍増する程度のスピードが、しかも継続して見られるというふうにわれわれは定義したいと思います。 もう一度言いますと、欧米で見られるように爆発的な患者数の増加のことを示しますが、この傾向は2~3日で累積患者数が倍増し、しかもそのスピードが継続して認められる場合を指すというふうに私たちは今回、定義をしました。
警戒感が予想以上に緩んでしまった
さて、東京都の場合は3月21日から30日までの10日間における東京都の確定日別患者数では2.5日ごとに、2.5日ごとに倍増しています。しかしこれには院内感染やリンクが追えている患者も含まれておる状況により、これが一過性のものなのかを含め、継続的に注意していく必要があると思っております。 以上が感染の現況でありますが、次には現在の対応点と問題点、われわれがどんなところがこれからの感染拡大抑制にとって乗り越えなくてはいけない課題かという点を幾つか整理しました。大きく分けて3つの分類をいたしました。 1つ目は地域ごとの対応に関する基本的な考え方であります。先日の3月19日のわれわれの提言では、地域を3つに分けるということで記載したと皆さん覚えておられると思いますけど、実は自治体の多くから、自分らの地域が、そういう3つに分けるのは分かったけど、いったいどの地域に自分らの地域が属するのかということをしっかりと分かるように書いてほしい、教えてほしいというような要望がありました。従って今回は、そのことが1つの大きな問題点としてわれわれは認識した。 2つ目の問題点は、市民の行動変容の必要性についてです。実はここで3点、申し上げたいことがございまして、1点目は、われわれ専門家会議のほうからも、いわゆる3つの密について再三再四、申し上げましたが、われわれの情報発信の方法も完全ではない、パーフェクトではなかったということもあったと思いますけども、このわれわれからの市民の皆さんへのメッセージが十分、届かなかった、あるいは十分、理解されなかったということが1点あります。 それから2点目ですね、この行動変容に関する課題としてわれわれが認識した2点目は、いわゆるコロナ疲れ、自粛疲れともいえる状況が見られて、一部の市民の皆さんの間で警戒感が予想以上に緩んでしまったということがあったと思います。