ケーブルテレビでなければ描けないありのままの地域の姿。「日本ケーブルテレビ大賞番組アワード」贈賞式を9/5・6に開催
■地域貢献を目指す制作現場の想いと地域の実情を映し出す 一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟は、全国のケーブルテレビが制作する優れた番組を称え、地域社会に根差した映像情報文化のさらなる発展を目的とした「日本ケーブルテレビ大賞 番組アワード」を開催。本年の各賞の発表と表彰を行う贈賞式が9月5日(木)・6日(金)に催される。 【画像】一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟 理事長・今林顯一氏 同アワードは、1975年に「日本CATV大賞自主番組コンクール」として始まり、今年は大きな節目となる第50回の記念大会を迎える。映像作品として優れた番組を評価する「コンペティション部門」、地域密着のケーブルテレビならでは番組づくりを評価する「コミュニティ部門」、応募者の裾野拡大や制作者の育成を目的とした「新人賞部門」の3つの部門で構成され、今年の応募作品数はコンペティション部門78、コミュニティ部門80、新人賞部門32の合計190作品。 全国の会員事業者で構成する審査員42名による6月の予備審査で38作品に絞り込まれ、7月30日(火)に外部有識者8名の審査員からなる本審査会で、最終ノミネート20作品および「グランプリ 総務大臣賞」を頂点とする各賞が決定された。9月6日(金)に開催される贈賞式のステージで発表および表彰が行われる。 2日間にわたって開催される贈賞式および記念イベントでは、初日には、青山学院大学 総合文化政策学部教授・内山隆氏「映像の進化 -10年前・今・10年後」、映画監督・上田慎一郎氏「地域メディアの可能性 身近な暮らしにこそ題材アリ!」の2つの記念講演が行われる。 続いて、ノミネート20作品を制作者自らが登壇して紹介。前夜祭の50回記念レセプションでは、過去49回のグランプリ作品や審査委員の記憶に残る受賞作品を採り上げ、50年の歩みを振り返る。 2日目にはいよいよ、グランプリ総務大臣賞、準グランプリ、最優秀新人賞をはじめ、50回記念特別賞、NHK WORLD JAPAN賞、新人賞・コミュニティ・コンペティションの各部門賞が発表される。グランプリを受賞した作品は全編上映され、審査員による講評や受賞者・来場者による制作談議が行われる。 説明会で登壇した一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟 理事長・今林顯一氏は、ケーブルテレビの現状と取り組みについて「人口減少や少子高齢化という地域が抱える課題解決に貢献しながらビジネスを行っていくことをミッションに、地域DXを目指す展開を行っています。ウイングを広げながらも中小の事業者が多く、自治体が経営されているところもあり、番組をつくる上では資金面・人材面からもかなり制約がありますが、地域の皆様に直接お役に立つことを主眼に、NHKさんや民放さんとは一味違った番組の作り方や目的で、地域の皆様の様々なお声を直接拾い上げ、埋もれている真実を探り、地域の明日を探しています」と説明した。 「日本ケーブルテレビ大賞 番組アワード」は、まさにそうした制作者の日々の努力を称えるものとして位置づけられ、「ケーブルテレビの在り方や番組制作者が描き上げた地域の姿、明日の姿を見ていただきたい」と力を込めた。 「賞ですから審査して、表彰しなければなりませんが、制作者の結晶ですから優劣をつけるのはかなり困難ですが、地域貢献・地域密着の観点から表彰して参ります。地域に貢献しようという制作現場の想いや地域の実情・未来が映し出されており、また、50回の記念大会で歴史を映す会にもなっており、半世紀にわたる取り組みにも併せて関心を寄せていただければありがたく存じます」挨拶を締めくくった。 9月6日に行われる贈賞式の模様はYouTubeでライブ配信。「これまでは業界内で制作力や情報発信力の向上を目指してきましたが、50回を機に広く発信するべく新たないチャレンジも行っていきたい」(コンテンツ&HR推進部部長代理・中田晃弘氏)と、今年から新たにsatonoka、チャンネル700で全国生放送も行われる。 受賞した作品は全国のケーブルテレビで広く発信されると同時に、番組アワードWEBサイトではストリーミング配信を実施。NHK地域放送局における関心も高まり、該当するローカル局で受賞作品が放送される例も増えているという。 地域に根差したコンテンツ制作に取り組み、多くの人々に情報を届ける地域メディアとなるケーブルテレビの番組制作力の一層の向上と地域の未来を創っていくことを目的にした「日本ケーブルテレビ大賞 番組アワード」。 常務理事・二瓶浩一氏は「今、各地に災害が数多く起こっており、事実としての災害報道ではなく、地域として災害をどう考えていくのか。そうした働きかけもとても大事になっています。時代の課題やテーマ性として、NHKさんや民放さんではなかなか取り上げきれないことや届かないことを、現地に行って生き様や営みをフォローしているケーブルテレビ事業者ならではの生活者目線、自治体の課題目線で、災害に対して取り組んでいくことは本当に大事なこと」と災害をひとつの例として取り上げ、番組アワードにおいても「今年はこれを伝えていきたいという審査会のなかで、ケーブルテレビが果たしていく役割をメッセージとして込めていきたい」と訴えた。
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純