「清潔感があれば何色でもいい」「もはや時代の流れ」マクドナルドのクルー“髪色自由化”がいいことしかない根拠 「スマイルあげない」キャンペーンに続く“本当の狙い”とは
つまり、これは単なるリクルーティングのキャンペーンではなく、「若い世代が自分らしく働くこと」を支援する取り組みでもあるのだ。 先述の「カンヌライオンズ2024」では、フランスの自動車メーカーのルノーの “Cars to Work(通勤のための車)”が、2部門でグランプリ、2つの金賞という多数の賞を獲得している。 これは、フランスでは公共交通機関が不便な地方や郊外に住む失業者は、車がないと就職できないにもかかわらず、就職できないと車のローンが組めないという問題に目をつけたものだ。
これに対して、ルノーはこうした地域に住む失業中の人々に、本採用となるまでローンの支払いを免除するというプランを提供した。 そうした流れで位置づけてみると、今回発表された「髪色自由化」も単なる人材確保というにとどまらず、若者の就業支援、さらには自己肯定感の促進という「社会課題の解決」という役割も担っていることが理解できる。 「大げさではないか」と思われるかもしれないが、決してそうではない。 ■Z世代にとっての「自分らしさ」
マクドナルドは、今回の規約改訂に関して、下記のような表明をしている。 約20万人のクルーが髪色を自己表現の1つとして自分らしい働き方をしてほしい、また自分らしく働くことによってさらにポジティブに仕事に取り組んで欲しいと、一人ひとりにあった価値観を尊重しながら、お客様に快適な環境でお食事をしていただける店舗運営に努めていこうという、想いを込めて実現したものです。 先行する似た取り組みとして、P&Gのヘアケアブランドのパンテーンが、2018年9月から行っている「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」がある。
この一連の取り組みの中で、パンテーンは「#令和の就活ヘアをもっと自由に」プロジェクトを始動させ、自分らしい自由な髪で就職活動を行うことを呼びかけた。2019年には、令和元年の内定式に向けて、139社の企業から賛同を集め、「内的式に、自分らしい髪で来てください」と呼びかけている。 筆者は大学教員になって、3年半になるが、いまの大学生は非常にさまざまな髪型、髪色をしている。 自分自身は国立の理系学部だったこともあるかもしれないが、学生だった頃は、同級生の髪色はほとんど黒だった。茶髪の人が一人いたが、「あいつは茶髪やけど、真面目で成績もいいんや」みたいな言われ方をしていた。