冬場の釣り、無理は禁物 庄内浜・強風、高波で転落の危険高く
庄内浜には冬場も多くの釣り人が訪れる。ただ、これからの季節は強風による高波などで、海に落ちる危険性が高まる。岩場だけでなく、岸壁でも無理な体勢で釣り糸を垂らせば、転落しかねない。今季は例年に比べ、釣果は全般的にいまひとつで、天候が悪化しても長居をし、無理をするケースもある。命を守るためには、冬場の釣りのリスクを踏まえた安全対策の徹底が不可欠だ。 酒田海上保安部によると、2019~23年の過去5年間、釣り中の事故に遭ったのは22人で、このうち海中転落は19人に上る。今年は11月21日現在で3件3人となっており、全て海中転落だ。10月14日には、立ち入り禁止区域の酒田港北防波堤灯台近くで釣りをしていた酒田市の男子高校生が海に転落した。救助されたが低体温症の疑いで救急搬送されている。救命胴衣は身に着けていなかった。 「せっかく来たのだから」。本県内陸部といった遠隔地から釣りに訪れた人などは、そんな心理から天候が悪くなっても長居をしてしまうケースが少なくない。しかも、今季は比較的海水温が高い影響か、釣果が振るわない状況だという。
酒田海保の担当者は「釣果を求め、海が荒れていても防波堤に登ったり、人が少ない『穴場』を探して立ち入り禁止区域などに入ったりする人もいる」と懸念を抱く。冬の訪れとともに海水温はぐっと低くなり、いったん海に落ちれば、助けられるまでに低体温症に陥る危険性は極めて高い。冬場の庄内浜の高波で転落することも危惧される。 海中転落を防ぐため、消波ブロックや防波堤、岩場の落ちやすい場所などで釣りをしないことに加え、天候や地形を事前に確認し、無理をしないことを酒田海保は呼びかけている。転落した場合に備え、救命胴衣を着用し、複数人で行動することや、ロープや浮輪を用意しておくことも重要。緊急連絡用に、携帯電話を使えるようにしておくことも必要不可欠だ。 11月15日には同市の酒田北港で、酒田海保と地元の釣具店が釣り人に啓発活動を展開した。担当者は「冬の海に落ちれば15分程度で命の危険が迫る。安全を第一に釣りを楽しんでほしい」と述べた。