【記者のベストレース2024】極度の不振を乗り越えて… 淀に咲いた復活のスタニングローズ/難波田忠雄
難波田忠雄【エリザベス女王杯・スタニングローズ】
華麗なるバラ一族の血を引いて、3歳春はフラワーCを制してオークス2着。秋は始動戦の紫苑Sを快勝すると秋華賞でGⅠ初制覇を飾り、さらなる飛躍を期待されたが、その後は不振を極めて昨年のヴィクトリアM(12着)の後には腱周囲炎で長期休養を余儀なくされた。 2024年シーズンは大阪杯、ヴィクトリアM、クイーンSと思うような成績を残せず、高野調教師、担当の土屋助手はもどかしさを感じていたが、これまで通りに真摯に向き合って復活の時を待ち続けていたのだ。 エリザベス女王杯は自ら勝負どころから動いていって、直線に向くときには勝利を確信できたほどの圧倒的な強さ。それまでの不振がうそだったのかというくらいの快勝だったが、担当の土屋助手がデビュー当初から身を粉にしてスタニングローズに携わってきただけに、最良の結果が得られたことに胸が熱くなった。土屋助手はレース後、人目をはばからず号泣していたが、これまで苦労した時期が長かっただけに、自然と涙があふれたのだろう。 当方は休日で、スマホでその勝利を見届けた。取材に行っていた記者によると、表彰式が終わってから土屋助手が当方のことを探し回っていたようで、ともに喜びを分かち合いたかったみたいだが、そんな号泣した姿で熱い抱擁をかわしてしまうと48歳の小汚いオッサンも鼻水たらたらでおえつしていたに違いない。関係者を含めてファンにも気持ち悪がられたはずだけに、当日は休日でよかった、と思った次第だった(笑い)。
難波田 忠雄