【NBA】ジョエル・エンビードの欠場が続く理由は太りすぎ? 『チームの顔』のプロフェッショナル精神の欠如に批判も
ポール・ジョージとともに開幕から4試合すべて欠場
開幕から1週間が経過したが、セブンティシクサーズはジョエル・エンビードもポール・ジョージもいまだプレーしていない。2人はどちらも膝のケガで欠場しており、現地10月30日のシーズン4試合目となるピストンズ戦の欠場も発表された。 ジョージはプレシーズンに出場し、そこで左膝の骨挫傷を負った。大きなケガではないが、34歳のベテランをこの時期に無理させるべきではないため回復を優先している。 一方でエンビードの欠場については疑問の声も上がっている。昨シーズンに半月板を痛めて2か月間の戦線離脱となったが、プレーオフには間に合った。膝の状態は十分ではなく、ダッシュしたり跳んだりする動きはかなり制限されていたが、それでも夏のパリオリンピックではプレータイムの制限なく出場し、素晴らしいパフォーマンスを見せて金メダルを獲得している。 まさか今シーズンに膝の問題が持ち越されるとは思わなかった。しかし実際は、エンビードはプレシーズンゲームで1分もプレーせず、開幕にも間に合わなかった。彼はダリル・モーリー球団社長に「プレーオフで確実に健康であるために、必要なことは何でもする」と伝えたそうだ。彼はバック・トゥ・バック(2日連続の試合)の連戦でプレーすることを避けると発言したが、その背後にはさらに大きな意図が隠されているのかもしれない。 レギュラーシーズンにおいては、100%の状態でない限りはプレーしない。これがエンビードの本音なのかもしれない。これまで彼のキャリアは度重なるケガに苦しめられ、特にプレーオフにたどり着く頃には満身創痍で、それがチームの躍進も阻んできた。チームに優勝争いのできる選手層がある今こそ、レギュラーシーズンで消耗しないことを重視するのは理解できる部分もある。 ヘッドコーチを務めるニック・ナースは、エンビードとジョージについて「私たちは彼らには健康で素晴らしいプレーしてほしい。シーズンを通して素晴らしいプレーを見せてほしい」と語る。チームメートも2人のコンディション管理に理解を示し、若きエースのタイリース・マクシーに大ベテランのカイル・ラウリーがチームをまとめて戦っている。 しかし、リーグはスター選手の理由なき欠場を容認しておらず、10万ドル(約1500万円)の罰金を科した。シクサーズとエンビードのやり方は、レギュラーシーズンの試合を軽視することに他ならず、リーグの価値を毀損する行為は看過できない。これが続くようだと、リーグはさらなる強行な手段に出るだろう。 そして、地元メディアでは反発も出てきた。『INQUIRER』紙はエンビードの欠場をケガによるものではなく、不摂生が原因だと批判し始めた。トレーニングキャンプ開始時点で彼は太っており、オリンピック終了後から『いつも通りのオフ』を満喫したため、10月末の時点でプレーできる状態はないだけだ、と『INQUIRER』紙は指摘する。ケガではなくコンディション調整の遅れが理由の欠場であれば、エンビードを目当てに1万4000枚が売れているシーズンチケットの一部を払い戻すべきだ、とも主張している。 ベンチから試合を眺めるエンビードの姿から太っているかどうかは判断しづらいが、ケガでここまで欠場が続いているにもかかわらずハードな練習をこなしており、ナースは「彼は少し痩せた」と指摘を認めるような発言をしている。 金メダルは彼のキャリアにおける金字塔となったし、9月に新たな契約を結んだエンビードにとってマックス契約を結ぶための出場試合数の規定は気にする必要がない。シクサーズで勝っていないにもかかわらず、彼は『飢えが満たされた』状態なのかもしれない。過去にはベン・シモンズやジェームズ・ハーデンも開幕時点でプレーを拒み、チームに混沌をもたらして移籍していった。エンビードはフロントに不満があるわけではないにせよ、これが『チームの顔』として正しい姿勢なのかどうかは疑問だ。 とは言え、誰に何と言われようとシーズン序盤にはすべてのリスクを排除し、プレーオフに焦点を当てる彼のやり方が、彼の加入以来実現していないカンファレンスファイナル進出、その先に待つ躍進を実現できるかもしれない。エンビードとシクサーズのやり方がどのような結果になるのか、その先行きに注目したい。