銭湯が次々廃業!「儲けはあんまりない」 燃料費高騰や施設の老朽化も “物価統制令”で自由に値上げできず
ガス代に設備費 値上げも難しく
地域の再開発や後継者問題など、様々な理由から廃業を選ぶ銭湯が相次ぐ中、特に経営を圧迫しているというのが昨今の「燃料価格」の高騰だ。 北九州市小倉南区で60年余りに渡って営業を続ける「幸温泉」では、週5日、午後3時半から夜9時までの半日足らずの営業時間だが、朝から湯を沸かして準備をするためガス代は月に約30万円かかる。ここ数年で10万円ほど上がったという。 さらに、「部品を全部換えるわけ。1本のシャワーで15万円はかかる。ばかにならないよ、これ。今回はもう悪いところだけ、4~5本くらいかな」と洗い場のシャワーについて話す幸温泉の吉岡利明さん。 年々、設備の老朽化が進んでいるが、費用がかさむため壊れた部分だけを少しずつ修理して対応しているという。 入浴料は、大人(中学生以上)で480円、中人(小学生)200円、小人(小学校入学まで・乳幼児を含む)100円だ。 銭湯の入浴料は公衆衛生の観点から戦後間もない1946年に制定された「物価統制令」に基づき、その上限が都道府県単位で決められている。スーパー銭湯などと同じ民間事業者が経営しているにも関わらず、自由に価格を決めることができないのだ。 「儲けはあんまりないよ。お客さん、来ればいいよ。値上げして客が減ったら元も子もない」と吉岡さんは苦しい胸の内を語った。 組合の理事長も務める吉岡さんは今後、福岡県に対し、入浴料の上限引き上げを要請したいと考えている。しかし、吉岡さんは、「ここでおしゃべりしてね、2時間、3時間おったら『極楽、極楽』って帰ってくれる。きれいになってね。値上げしたらお客さん、減るやろね。どうしようもないね」と、値上げで年金暮らしの高齢者が銭湯を利用しなくなるのではと懸念している。 移り変わる時代の中で、銭湯は消えていってしまうのか。 日本の「癒やし」の文化にも、エネルギーの高騰が暗い影を落としている。 (テレビ西日本)
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