「危機的な状況です」雪山の変化を目撃している人たちの訴え。私たちが今、気候・エネルギー政策に向き合わなければいけない理由
アウトドアコミュニティが、気候・エネルギー政策めぐり政策提言をする理由
共同提言では、▽気候・エネルギー政策が「1.5℃目標」に整合すること、▽気候変動政策の「決め方」の見直し、の主に2点を求める。 提言1では、NDCやエネルギー基本計画、GX2040ビジョンに「1.5℃目標」を明記した上で、それらがどう目標に整合しているかの説明を要求。 提言2では、審議会や研究会のメンバーの所属やジェンダーなどに偏りが見受けられるため、人選方法を変更し、気候変動の影響を現に受けている当事者の声を気候変動政策に反映させる仕組みづくりを求めている。 「1.5℃目標」とは、2015年にパリで開かれたCOP26で合意された目標値で、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるというものだ。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、気温上昇を約1.5℃に抑えるためには、2030年までに2010年比で世界全体のCO2排出量を約45%削減することが必要だ。 共同提言はPOWと一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパンが賛同呼びかけ人となり、アスリート・個人318人と、110の企業・団体・自治体が賛同している。 共同提言の発表には、プロスキーヤー、アウトドアブランド経営者、町長、スキー場経営者など様々な立場の賛同人9人が登壇し、それぞれが雪山で感じる「変化」と、気候・エネルギー政策への意見を述べた。 バートンジャパン合同会社の竹鼻圭一代表スノーボードやアウトドア用品を製造・販売するバートンジャパン合同会社代表の竹鼻圭一さんは、雪山での変化について話した。 「雪が降る期間が短くなっています。本当に危機的な状況です。ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、 本州では1、2月しか初心者の皆さんが安心してスキーができる期間がなくなっています。昔は『春スキー』というと、5月のゴールデンウィーク頃までのスキーを指しましたが、今では1ヶ月半程も短くなり、3月を『春スキー』と言っています」 また、先日行われた自民党の総裁選や立憲民主党の代表選挙でも、気候変動が議題にすらなっていなかったことを指摘。「政策のリーダーシップが本当に必要」とした。 「今、気候変動の加速を止めるためには政策の転換が必要で、政策のリーダーシップが必要です。化石燃料を燃やすのではなく、 再生エネルギーで大胆な転換を今すぐにすることが重要です」