植物素材で表情豊かな動物オブジェ アニマルクラフトの造形作家・内田さん 館山(千葉県)
葉っぱなどの植物素材とワイヤを使って、キリンやライオンといった動物のオブジェをつくる造形作家が、館山市にいる。いきいきとした表情の動物たちの作品を芝生に並べると、まるでサバンナのようだ。 すくっと首を伸ばしたキリンの親子、大きく口を開けてほえるライオン。動物たちに命を吹き込むのは、同市神余の内田芳明さん(78)。ワイヤで形をつくり、葉っぱや実、木の皮などを使って、「アニマルクラフト」と名付けた、表情豊かな動物たちをつくり上げていく。 内田さんが独創的なアニマルクラフトを思い立ったのは、東京都内で生花店を経営していた25年ほど前のことだ。仕入れ先の市場で、売れ残って廃棄される植物に、「何か役立てられないか。葉っぱでアートができるのでは」とひらめいた。 もともと動物が好きで、「他の人がやってないものをつくりたい」と動物を題材にした。ただ、美術の心得があったわけでなく、全くの独学。動物の写真集に見入ったり、動物園に通ったりしながら、動物の体の模様や動きを丹念に見て、試行錯誤を繰り返しながら独自の製法を編み出した。 「動物たちの愛らしい表情や動きを表現したい」と手掛けた動物たちはどれも愛嬌(あいきょう)たっぷり。「動物だと子どもでも親しみやすい。作品を見て喜んでもらえるのがうれしいですね」と目を細める。
キリンやゾウといったサバンナに生息する動物たちを中心に、ワニやクジラなどさまざまな動物を手掛ける。大きさは20センチから1メートル60センチほど。小さい作品で1週間、キリンなどの大きな作品は3カ月ぐらいかけてつくるという。 仕上げに使う葉っぱは乾燥したものを使っており、最初はくすんだ緑色をしているが、自然と茶色に変わっていく。内田さんはそうした色の変化も計算しながら作品をつくる。自然素材ゆえの色合いの変化も魅力の一つだ。 都内に住んでいたときは、美術館や区民ギャラリーなどで個展も開催。5年前に移住した館山では展示の機会がなかったが、16日に同市の豊房小学校である「豊房神余地区コミュニティのつどい」(午前8時半~午後0時半)で、ゴリラ、キリン、マンモスの作品3点の展示を予定している。 内田さんは「今後は機会があれば個展も開いていきたい。こうした作品があるということを地域の人にも知ってもらい、楽しんでもらえればうれしい」と話している。 (加藤純一)