５回、先制となる２ランを放つ前川（撮影・北村雅宏）

　「フェニックス・リーグ、阪神３－０巨人」（２０日、アイビースタジアム） 　またしても宮崎の地にアーチをかけた。阪神・前川右京外野手（２１）が２０日、フェニックス・リーグの巨人戦（アイビー）で、五回に２試合連発となる右越え２号２ランを放った。四回まで苦戦していた先発・京本の真っすぐを一振りで仕留めた。今季は初めて１軍でシーズンを完走し、大きく飛躍。藤川新政権での左翼の定位置獲りへ、右京が打ち続ける。 　スコアボードに並び続ける０を前川が止めた。コンパクトなスイングで仕留めた２試合連続弾。一瞬で右翼芝生席に消えた鋭い打球に虎党から大きな歓声が上がった。「いいピッチャーから打てたので良かったです。前のホームランより良かったかな」。来季の左翼定位置獲りへ、手応え十分のアピールとなった。 　五回。ここまで先発の同学年・京本に無安打に抑えられていたが、井上の右前打で沈黙を破った。無死一塁で前川が打席へ。「１打席目はちょっとフォームが硬かったので、ちょっと柔らかく」と１５０キロ直球に空振り三振に倒れた二回の打席から修正。「真っすぐ一本で」と狙い通り２球目にきた１４７キロ直球を振り抜き、鳴りやまぬ拍手を浴びながら生還した。 　藤川新監督が視察した１８日のフェニックス・リーグのＤｅＮＡ戦（ひむか）では同リーグの虎１号を放った。１点を追う六回無死一、二塁で、左腕の石田健の変化球を捉えて一時逆転となる３ランをマーク。打球は瞬く間に右翼席へ吸い込まれたが「前は球場も狭かった」と満足はしていなかった中で出た２戦連発だった。 「インサイド　　　アウト」 　前回の一発と同じライナー性の打球。「なるべく当てたゴロとかはフェニックス・リーグではなくしていきたいので、そこはちゃんと振り切りたい」と目指すスイングへ、１打席ごとにレベルアップを心がけている。 　本塁打の数も増やしたいところだが「タイプもあるので、そこはちゃんとある程度形を作って振れるようにしたい」。着実に数字を伸ばすため、まずは日頃から意識している「インサイドアウト」のバットの軌道で土台を固める。 　今季は１軍で初完走を果たした。１１６試合に出場して打率・２６９、４本塁打、４２打点。３３試合出場で打率・２５５、０本塁打、７打点だった昨季から格段に成長した。和田２軍監督は「１年前と全く違う。体のキレも。ある程度１軍でやれるという自信もついて。雰囲気も全然違うな」と目尻を下げた。 　「打率とホームランと打点が大事なので、数字を残せるように」。快音を鳴らし続けて左翼の座を奪い取る。 　◆阪神２０２４年シーズンの左翼　先発出場試合数で最多は前川で９２試合。守備機会１４６で１失策、守備率・９３３だった。次いで先発出場試合数が多かったのがノイジーの３９試合で島田の３８試合と続いた。