【漫画】フェミニストを堂々と公言する幼なじみとの再会…男女の葛藤を丁寧に描ききった作品に「深い」「近年の良作」と大反響
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、坂本寺さんの「再会した幼馴染がフェミニストになってた」。 【漫画】”私をフェミニストにしたのは社会だ” 同窓会で再会した幼馴染との男女の葛藤を描いた物語に「いい話」 この作品は、2024年5月1日にX(旧Twitter)に投稿されると、瞬く間に4.9万以上のいいねを集めて話題になった。このポストには「素晴らしい漫画をありがとうございます」「表現が素晴らしい」「いい話」といったコメントが殺到。この記事では作者の坂本寺さんに、作品のこだわりなどについてインタビューを行った。 ■再会した幼馴染がフェミニストに… うみと陸人は、成人式の同窓会で再会を果たした。 親同士が仲良く、幼馴染としてとても仲が良かった二人。でも、時間と共に男子と女子の世界は別れるもので、なんとなく疎遠に。そんな二人の再会だった。 友達の輪で盛り上がっている陸人を、うみが誘い出す。「あいつらって付き合ってたんだっけ?」「まだ好きとか?」と噂されるなか、好きな作家の話で盛り上がる二人。疎遠になったと思い込んでいたが、一度話し出すとあの頃に戻ったかのように話すことができた。他者が介入する隙もない空気が漂う。やっぱり気が合うということ実感する二人だった。話が盛り上がっている最中…。 「フェミみたいなこと言うじゃん」 「は?そりゃあたしフェミニストだもん」 ひょんな発言から、うみがフェミニストであることが判明する。周りの人や社会が、私をフェミニストにしたんだと打ち明け…。 男女が一緒にいたら”好き”。そんな簡単な言葉では言い表せない関係にある、二人の心情を丁寧に描いた物語に「深い」と絶賛の声が寄せられている。 ■作者・坂本寺さん「願わくは、あなたの中に良いかたちで残れますように。」 ーー『再会した幼馴染がフェミニストになってた』を創作したきっかけや理由があればお教えください。 私は当然フェミニストなので、久しぶりに会う友人がフェミニストであればとても嬉しいだろうと思います。時間や空間を隔てていても、どこかで同じ方向を向いているひとが居るということは、力になるからです。しかし私自身、そう自称する人を前にしたときに身構えてしまったことがあります。それだけ、フェミニスト/フェミニズムの言っていることを理解しようとする機会が少なかった。また「フェミニスト/フェミニズム」に対する認識が、その人の知識、置かれる環境等によって、まったく異なる、という現状があると思います。そうした認識と実存のずれのようなものを捉えたいと、作り始めました。 ーー今作を描くうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。 隣から聞こえてきそうな会話と、聞こえてこなそうな会話の按排です。生身での言葉のやり取りは、スピード感とうかつさが良いところでもあり、怖いところでもあると思うんです。大して考えていなかった言葉が、良いかたちでも悪いかたちでも残り得る。それでも、生身があるからこそ、相手のようすや場の空気などで軌道修正を図れるのが、生身の会話の面白さだと思います。特に1対1の対話となれば、相手に言葉を投げたとき、たとえ言葉が返ってこなくても反応は絶対に返ってくる。そうしたものに向き合いながら会話するひとたち、をえがくことに注力しました。 ーー今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。 「フェミみたいなこと言うなよ/そりゃあたしフェミニストだもん」の1ページです。この1ページがある漫画が読みたい、という思いからこの漫画を描いたので。「フェミ」という言葉が、嫌悪やからかいのニュアンスを含んで使用される昨今の空気を吸ったうえで、お前はそんなやばいやつらじゃないだろ、という祈りも込めて「フェミ」喩えをするひと、そんな空気や見当違いの祈りを吹き飛ばすように、あっけらかんと「フェミニスト」宣言をするひとの対比は面白いだろうな、と思いました。 ーー本作は5万件近くのいいねを獲得しています。多くの反響を呼んだことについて率直な感想をお聞かせください。 驚きました。目を惹くトピックだから、それなりに見られるだろうな、と予想はしていましたが、それ以上に広まってしまい、焦りました。というのも、表現の稚拙さや技術の未熟さ抜きに、広まり得る場であることを意識しきれずに発信してしまった、「これがフェミニスト/フェミニズムだ」と提示し得ることを考慮しきれなかったからです。ですが、色々な方面からの反応をうかがえることによって、あくまでTwitter上の、ではありますが、フェミニスト/フェミニズムの「現在地」のようなものが大まかに図れたのは、大きかったです。 ーー坂本寺さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。 今後は、「読まれる」ことをより深く意識しつつ、かつ、自分の読みたい、と描きたい、を大事にしながら、創作を続けていきたいと思います。『再会した幼馴染がフェミニストになってた』のかれらも、引き続き捉えていきたいです。自分ひとりに何ができるのか、自分の漫画に何ができるのか、考え続けながら活動していきます。 ーー最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。 あなたに私の描いた漫画が読まれるということは、あなたと少なからず関わり合うこと、あなたの人生に入り込んでしまうということでもあります。願わくは、あなたの中に良いかたちで残れますように。読んでいただき、ありがとうございます。
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