意外と誤解している「割に合わない仕事」と「クソどうでもいい仕事」の大きな違い
社会的価値と市場価値の反比例
『ブルシット・ジョブ』を通して、印象深い証言を残している、「エリート」BSワーカーのハンニバルは医療現場での経験をこう表現しています。 「仕事をしてえられるお金の総額とその仕事がどれだけ役に立つのかということは、ほとんどパーフェクトに反比例している」(BSJ 273) 社会的価値に乏しければ乏しいほど、実入りはよくなり(市場価値は上がり)、社会的価値に富んでいれば富んでいるほど、実入りは悪くなる(市場価値は下がる)。 要するに、だれかがきつくて骨の折れる仕事をしているとすれば、その仕事は、世の中の役に立っている可能性が高い。つまり、だれかの仕事が他者に寄与するものであるほど、当人に支払われるものはより少なくなる傾向にあり、その意味においても、よりきつい仕事となっていく傾向にある。 この逆説を、グレーバーは以下のように定式化しています。 その労働が他者の助けとなり、他者に便益を提供するものであればあるほど、そしてつくりだされる社会的価値が高ければ高いほど、おそらくそれに与えられる報酬はより少なくなる[強調引用者](BSJ 271) つづく「なぜ「1日4時間労働」は実現しないのか…世界を覆う「クソどうでもいい仕事」という病」では、自分が意味のない仕事をやっていることに気づき、苦しんでいるが、社会ではムダで無意味な仕事が増殖している実態について深く分析する。
現代新書編集部