12歳の少年が見た昭和22年 「真相はかうだ」の真相はどこだ 墨塗教科書で学ぶ僕ら プレイバック「昭和100年」
ものの値段が上がるインフレもますますひどくなり、闇市では米もみそも以前の数十倍だという。一方で、1枚50円の年末宝籤(くじ)は一等が以前の10万円から100万円に一気に上がった。これもインフレというのかわからないが、「100万円」という金額が今の生活から見れば想像もつかなくて、何だか馬鹿にされているような気もした。
大人は今の世の中をどう思っているのだろうか。つい先日まで正しかったことが、全部間違いと言われることは、長く生きてきた大人のほうが本当はつらいのかもしれない。
新聞で東京区裁の判事が、闇市で買う闇米を食べることを拒否して栄養失調で亡くなったという記事を見た。闇米の取り締まりを担当していた人だという。僕は感動した半面、そこまですることはないとも思った。正直すぎて、死んでしまっては何もならない。
大人はウソをウソとわかって生きているのだろうか。それが敗戦国で生きていくために必要な知恵だとしたら、やっぱり僕は悲しい。
※「真相はかうだ」はGHQの民間情報教育局が占領下の日本向けに制作したNHKのラジオ番組。日本の民主化を促すため満州事変から終戦までの15年間の「真相」を会話形式で明かす内容だったが、GHQが制作していることは隠されていた。昭和20年12月から23年1月まで、再放送を含め繰り返し放送された。
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