「どん底まで落ちた」泣きながら体を売った10日間――ホストから強要された地獄の海外売春 #ydocs
ホストに強要され作った「カード30枚」
「カード出して」 これは次に店を訪れた時、席に着いた瞬間にホストから言われた言葉です。 彼女は「来たばかりなのに嫌」というと、「カードがきれなかったら不安」といって急に怒り出すホスト。私たちは彼女がいくらまで使えるのかを確かめられていたように感じました。 店のナンバー1になりたいホストは、年間の売上げが決まる締め月になんとしてもお金を使って欲しいという“欲望”があり、彼女にも協力を求めていました。しかし彼女も簡単には応じません。 「私たちに未来がないなら無理」と伝えると、ホストは「将来、面倒を見る」と答えました。 彼女は結婚を考えてくれている、そう感じたといいます。 そしてホストを信じ込んだ彼女にかけられた次の言葉は、「カードを作ってほしい」でした。限度額いっぱいまで使い、またカードを作らせる。カードを作らせた後はさらに「限度額をあげてほしい」と言ってきたといいます。 まさにこれが女性の限界以上にお金を使わせる「悪質ホスト」の手法の1つなのです。 彼女は輪ゴムでとめたクレジットカードを私たちに見せてくれました。「1、2、3…」と自身で数えた30枚のカード。 「これはキャッシング100万できる」「これはリボ払いが200万できる」 金、銀、黒…、それぞれのカードに辛い思い出が残されていました。もちろんカードを切るということは支払いがあるということ。 その苦しみにホストが次にかけてきた言葉は「これで月800万稼げるよ」という新たな金策でした。
ホストから“海外に出稼ぎに行け”
2023年5月、彼女とホストは同棲を始めていました。時折ホストからかけられる「将来面倒を見る」という言葉が、彼女の人生を狂わせていくことになります。 ホストは、お金の心配をする彼女に「月800万稼げるよ」と仕事を持ちかけてきました。月800万稼げる仕事というのは“海外出稼ぎ”のこと。つまり“海外で体を売る”ということです。 最初、彼女は断りましたが執拗に体を売ることを求めるホスト。彼女はまた断りました。しかし、次第に断る彼女に対してホストは語気を強め怒るようになったといいます。 気付けばホストは海外出稼ぎを斡旋するエージェントと連絡をとっていました。「怖い」、「誰が守ってくれるの」と湧き上がってくる不安。しかし、結婚する将来をイメージしてしまう中で、「もう行くしかないんだ」と諦めて前に進む選択肢しか彼女には残されていませんでした。 「いい人だからすぐ連絡して」 ホストからそう紹介されたエージェントに送った顔写真。名前、年齢、血液型、身長、体重の他にスリーサイズ、ブラジャーのカップ、結婚歴や出産歴、NG行為など細かいプロフィールも送らされていました。 出稼ぎ先として紹介されたのはオーストラリア、台湾、マカオ、アメリカなど数カ国。エージェントは「個人情報は他の人に見せないですよ」と、優しく丁寧な言葉遣いで彼女の不安をなくし、緊張を解きほぐしていったといいます。 「信用するホストが“いい人”といっているのだから…」 直接会う面談があると言われていたものの都合がつかず、結局エージェントには会わないまま出稼ぎに行くことに。結局、彼女は1時間以上の電話だけで信用してしまいました。 そして彼女が向かった場所はマカオでした。