『モンスターハンター』シリーズ20周年記念! 辻本良三プロデューサーインタビュー「開発が順調だった作品はひとつもありませんでした」
――ほかにも開発が大変だったタイトルはありますか? 辻本 大変だったのは......全部ですね。ゲーム開発で順調なことはほぼありません。むしろ順調だと新しい要素を足そうとして結局、大変になってしまうんです(笑)。 中でも印象に残っているのは『モンスターハンターポータブル 2nd G』(08年)で、開発期間が実質、数ヵ月しかありませんでした。いろんな検証をする時間もなく、いいなと思ったアイデアをとにかく放り込んで作りました。 ――常に新しい要素の追加を期待される難しさもありますよね。 辻本 もちろん難しいですが、作品ごとに「どういう遊び方を提供したいか」のコンセプトを考えて作るのは、シリーズを通して大切にしていることです。 例えば『モンスターハンター3(トライ)』(09年)では"水中での狩り"を新たに追加しましたが、単に「水中アクションをやりたい」からだけではなく、3D空間を自由に動く立体的なアクションをMHに取り入れるための試験的な要素でもあったんです。 実際、次の作品からは陸地でも段差をつけてみて、その次は環境を利用したアクションを追加して、という流れがありますね。 ■辻本Pが考える「モンハンらしさ」の根幹 ――ちなみに辻本プロデューサーが好きなモンスターは? 辻本 そうですね......ひとつ選ぶとしたら「ラオシャンロン」ですかね。単純にデカくてインパクトがありますし、特殊なクエストで登場するので印象に残っていますね。 ――迎撃兵器を活用する特別なクエストは「ボスだ!」と感じさせてくれますよね。辻本 普段のクエストよりさらにマルチプレイらしい遊び方になります。MHはソロで遊んでいる方も多いので、ひとりでもマルチの感覚や遊びやすさを味わってもらうために必要な要素も常に考えています。 あと、好きなモンスターといえば、プロデューサー目線ではありますが20年間ずっと頑張ってくれている「アイルー」ですかね。実は開発初期ではゴブリンみたいな、ちょっとイカツイ見た目だったのですが、当時のデザイナーが描いたアイルーの絵を見て「こっちのほうがいい」との声があって、今の姿になりました。