『モンスターハンター』シリーズ20周年記念! 辻本良三プロデューサーインタビュー「開発が順調だった作品はひとつもありませんでした」
――狩猟ゲームになじみがなかったこともあり、初代MHをプレイしたときは少し過激で驚きました。モンスターを攻撃すると、けっこう派手に出血するんですよね......。 辻本 (笑)。シリーズ全体でいえば"グロさ"のバランスには相当気を使っているんです。例えば「部位破壊」(*)をした際、モンスターの腕や脚がボトッとちぎれたりはせず、角や尻尾など「壊れても嫌じゃない」印象になる箇所を選んでいます。 (*)モンスターの特定の部位にダメージを与えて破壊もしくは分離すること。モンスターを弱体化させるだけでなく、その部位から特別なアイテムが手に入ることからプレイヤーは積極的に狙いにいく ■特に開発が大変だったタイトルは? ――シリーズが20年続く作品になった理由はどこにあると考えていますか。 辻本 コンスタントに作品を出せたことは要因のひとつだと思います。僕たちも「忘れられたくない」と、できるだけ早く、なおかつ進化したものを届けられるよう意識していました。開発チームが2作品同時に走っていたこともありましたね。 あとは協力プレイなので、「人が人を誘う」流れが生まれてくれました。機器や通信の進化でオンラインプレイのハードルが下がったのも大きかったです。 ――僕も学生時代はMHがコミュニケーションツールのひとつでした。授業時間とクエストの制限時間がどちらも50分なので、授業中にこっそり友達と協力プレイをしたものです。 辻本 それはいい思い出ですね(笑)。 ――その楽しさが海外にも広がった、という意味で『モンスターハンター:ワールド』(18年。以下、MHW)は、記念碑的作品ですね。全世界販売本数2500万本という世界的な大ヒットを記録しました。 辻本 実は、海外でもMH初期から小さなコミュニティは存在していたのですが、ユーザー数が一気に伸びたのは18年発売のMHWです。同作は開発段階からグローバルを意識して発信し、対応言語も従来の倍近くとなる14へと増やしました。開発の大変さはありましたが、大きな広がりにつながりましたね。