「利下げ予測」後退にもかからわず、なぜか「暴落」しなかった米国株が、じつはいま「買い」であると言えるワケ
年内の米国株動向を占う6月FOMC
米国株の年内の動向を占う上で最も重要な日となったのが、6月11,12日開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)でした。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 結論から言えば、FOMCは年内に1回の利下げを想定しており、従来予測の年3回から大幅な下方修正をしたことになります。 従来であれば株安となりそうな展開ですが、マーケットは違う思惑により上昇しています。 その理由の一つが、6月21日に発表した5月のCPI(消費者物価指数)がコンセンサス予想を下回ったことにあります。景気の鈍化が示されたことは悪材料の出し尽くしを意識させるため、投資家にとって「買いのシグナル」となりやすいのです。 またAIブームによって、最も恩恵を受けているマグニフィセントセブンの株価が上昇しており、これもS&P500などの株価上昇の要因へとつながっています。
日本株には追い風の可能性、日銀の金融政策変更によるドル円為替相場の影響
日銀が6月14日の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れを減額する方針を発表しました。 この決定により、今後日本の長期金利が上昇する可能性が高まっています。 一方で、米国の長期金利は急落しています。このトレンドが続く場合、日米間の金利差は縮小することになります。金利差の縮小は、為替市場においてドル安円高を引き起こす要因となるでしょう。 具体的には、日銀の買い入れ減額によって日本の長期金利が上昇すると、日本の国債の魅力が増し、投資家が日本の資産を選好する動きが強まると予想されます。一方、米国では長期金利の低下が続けば、相対的に米国資産の魅力が減少し、ドルが売られる展開となります。 このように、日米の金利動向が為替市場に与える影響は大きく、今後の動向に注目が集まります。特に、日銀の政策変更と米国の金利動向がどのように展開するかによって、ドル円相場は大きく動く可能性があるのです。
7月のアノマリー&トレンド転換とサマーラリー
1950年1月~2020年5月までのS&P500の月間パフォーマンスを見ていくと、7月の月間平均リターンは+1.1%と年で2番目にパフォーマンスの高い月です。このアノマリーに従えば、7月は強気相場が続く可能性が高いです。 その一方、米国株は大きなターニングポイントにある可能性もあります。 なぜなら、S&P500はインフレ抑制と利下げ期待を背景に、一時的に過去最高値の5,505ポイントを記録しましたが、これは6月21日に出来高が急増したことで、今後、相場のトレンド転換が示唆されています。なぜなら高値圏での出来高急増は、機関投資家が利益確定の売りに動いている可能性が高く、株価が天井を迎える前兆となることが多いです。 過去の事例を見ても、2023年12月と2024年3月に同様のパターンが見られ、その後、もみ合いか下落に転じました。今回も同様の動きが予想されます。 特に、市場を牽引してきたエヌビディア(NVDA)が直近高値から10%下落しており、これもトレンド転換の可能性を強めているため、マーケットに対しては夏の終わりから秋にかけて下落する確率が高いことも念頭におくべきでしょう。 こうした2つの視点の上で、意識したいのが「サマーラリー」です。 現在、米国経済は7月中旬から本格化する第2四半期の決算発表に向けて、予想外にポジティブな見通しが示されています。通常、企業の決算発表後の2ヶ月間で次の四半期の業績予想は下方修正されることが多いのですが、今回は0.3%ポイントの上方修正が見られました。 過去5年間のデータを振り返ると、決算発表後の2ヶ月間で予想EPS(1株当たり利益)は平均して2.8%ポイント下方修正されていました。さらに過去10年では平均2.7%ポイントの下方修正が一般的です。したがって、今回のように決算発表前に業績予想が上方修正されるのは非常に珍しいケースなのです。 直近で同様の上方修正が見られたのは2021年第3四半期で、その際にはS&P500が9月末から12月にかけて10.65%上昇しました。これにより、今回の上方修正も市場に対してポジティブな影響を与える可能性が高いと考えられます。 また大統領選挙の年の6~8月のS&P500のパフォーマンスは、平均75%の勝率であり、1年間で最もプラスが期待される時期です。 現在の市場環境を踏まえると、企業の業績改善と投資家の楽観的な見通しが重なり、今後の株式市場に対して非常にポジティブな影響を与えることが期待され、これから発表される決算内容にも注目です。