アクセンチュアが提言する「生成AIを活用した組織変革」とは? その先の“将来像”も考察
生成AIを活用した組織設計 “その先”にある将来とは?
保科氏によると、アクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都のコンセプトは、「AIと人、AI同士の共創空間」だ。同センターを訪れた人が複数のAI同士の会話に参加して、議論する場を提供する。 このコンセプトに基づいた事例としての生成AIを活用した組織設計は、現在の組織構成や配属人数だけでなく、企業として将来ありたい姿(経営計画や重点施策)や市場動向、さらにはアクセンチュアがグローバルな活動で蓄積してきた生成AIの先進事例や職種別生成AIインパクト調査などのデータから、企業戦略に即した組織と配属人数をAIが提案するものだ(図2)。 異なる立場の生成AIが議論しながら、あるべき組織構造を提案する形だ(図3)。 図3の左側は、AI人事コンサルタントによる組織見直し提案を作成・提出するプロセスだ。AI人事コンサルタントには、業務変革を強力に推進する「積極派」と、人材を徹底的に活用する「保守派」がいて、それぞれに見直しの提案を行う。それらを基に、右側にあるように積極派、保守派、それに中間派も加わり、カスタムLLM(大規模言語モデル)も利用しながら議論し、AIファシリテーターが内容をまとめ上げて組織の最適な配属人数を導き出していくという流れだ。 ここでいうAI人事コンサルタントやAIファシリテーターは、すなわち「AIエージェント」だ。このバーチャルな議論に人が加わって意見を述べることも可能だ。これによって、あらゆるデータを駆使して意見の異なる専門家たちと組織変革に向けた充実した議論ができる。 そうして生成AIのインパクトを加味した組織変革をAIが提示したのが図4だ。 図4の左端にある各種の入力データを基に、ブルーで示されているのが現状の業務と人員数だ。そこから議論によって導きだされたのが、グリーンで示されている、生成AI適用後の業務とその必要人員数だ。 既存の全ての部署で人員が減少しており、減少した人員は新たに設けられた部署への異動やリスキルの対象となっている。ちなみにリスキルが必要な従業員は全体の39%と、衝撃的な割合だ。 保科氏によると、図4は議論によって導き出された結果だが、新たなスキルを身に付けた従業員を生かすために再び組織を変革するなど、取り組みを継続することが重要だという。