現役保育士・てぃ先生×柳原可奈子 「絵本の読み聞かせの極意は『何でもいい!』って、どういうこと?」
てぃ先生:そう! 次にオススメなのが参加型の絵本。『ぜったいに おしちゃダメ?』はご存じですか? 柳原さんのお子さんもきっと好きですよ。 柳原:うちの子、ボタンが大好きなの! 電気、エレベーター、バス……全部のボタン押したいくらい(笑)。 てぃ先生:この絵本はまさに参加型なんです。まず、タイトルが良いですよね。加えて導入も「ちゅうい おとうさん、おかあさんへ」から始まります。「おこさまへ」じゃないのが逆に興味を引きますよね。そして「ボタンをおすと たいへんなことが おこります。おこさまが ボタンをおさないように じゅうぶん ちゅういしてください」と続きます。 柳原:これは私もお笑いの養成学校で教わりましたよ。まずはフリ、そこから落ち(笑)! もうニヤニヤが止まりません! てぃ先生:それに子どもの個性が見えやすい絵本なんです。タイトル読んだ瞬間に押そうとする子から、最後まで読み進んでも押さない子まで、十人十色です。 柳原:面白いですね! てぃ先生:『よるくまシュッカ』も良い絵本です。寝かし付け絵本としては『おやすみ、ロジャー』が有名ですが、最近はこちらも人気で、おすすめはお子さん用のミニ版です。 寝ようとしないお子さんは興奮状態で呼吸が早いのですが、それを寝ているときのゆったりとした呼吸にシフトできる絵本になっています。黄色にマーキングされた文字は呼吸の部分。例えば「ふぁーあ」なら、読みながら一緒にあくびの真似をするんです。 柳原:今のワンフレーズで私も眠くなってきました。 てぃ先生:(笑)。それを真似していくうちに、ゆったりとした呼吸に導くことができるんです。
大好きなママパパと一緒の時間が嬉しいから、絵本が好き!
柳原:子どもの集中力が続かないとか、ページをどんどんめくろうとするとか、自分が先に読みたがるとか、そういう子の場合はどうしたら良いのでしょう? てぃ先生:何でもいいんですよ! 柳原:な、何でもいいって! もう楽しければ良いってこと!? てぃ先生:そう、楽しいのが一番! そもそも子どもにとって、大好きなパパやママとくっついていられるからこそ、絵本の時間が嬉しいんです。いきなり絵本を好きにさせるのは難しいです。「絵本を読む時間が好き」から始めてみてください。 柳原:これまで、せっかくだから一字一句頭に入れて欲しいという気持ちがつい出てしまっていたのかも……。子どもがページをめくろうとしたら、まだ読んでいる途中だからって戻したりして。なんだか親の方が肩肘張って、少しでもためになる時間にしたいと思っちゃってました。絵本は生産性を期待するものではないですよね。確かに、親子の時間をもっと楽しまなきゃ! てぃ先生:お子さんがページをどんどんめくっちゃうというのは、絵を楽しみたいお子さんの場合が多いです。例えば『からすのパンやさん』。いろんなパンが並んでいるあの絵がみんな好きなんです。だから、お子さんによってはその途中は正直どうでもいい(笑)。それを大人が「順番に」と止めてしまっては、絵本がつまらないものになっちゃいますよね。だからそういうお子さんの場合は、どんどん進めて良いんです。 柳原:そっか~! 家で『しろくまちゃんのほっとけーき』を読んでいたとき、子どもは早く焼くシーンが見たいのに、親の私は「卵は1つ、2つね」と教え込むように数えてました(笑)。子どもにとっては早く焼いてくれって感じですよね。 てぃ先生:それじゃあちょっと息苦しいかもしれないですね(笑)。お子さんの様子によって使い分けることが大事ですよね。