今月末で閉業、塩尻の老舗銭湯・桑の湯 "跡継ぎ"を募集
今月末で営業を終える創業95年の銭湯・桑の湯(長野県塩尻市大門一番町)が3日、銭湯を継承する事業者の公募を始めた。塩尻市内唯一の銭湯で、3月に閉業を公表して以降、多くの利用客らから惜しむ声が聞かれた。4代目経営者の桑澤弘幸さん(53)は、今後も情熱を持って銭湯経営するとともに、建物の空き空間を活用する事業者を探すことを決めた。 昭和4(1929)年に創業した桑の湯は、かつて材木店を営んだ桑澤家が廃材を利用しまき風呂を始めた。レトロな建物のファンも少なくなかったが、桑澤さんの体力の限界もあり営業終了を決断した。閉業公表後、全国の事業者から問い合わせや訪問があり、桑澤さんは「存続価値があると思ってもらえたようだ」と話す。 桑の湯は、敷地面積が約1020平方メートルで、銭湯部分が木造2階建て延べ324平方メートル(昭和26年建築)、木造平屋130平方メートル(同27年建築)の住宅もある。銭湯2階には、かつて休憩所として利用した和室(8畳~10畳)が3室ある。桑澤さんは転居するため、住宅も含め活用できる。土地は利活用者と賃貸借契約を結び、建物と煙突、設備関連は所有する桑澤さんが土地の賃貸者に無償譲渡する考えだ。 継承事業者は、銭湯経営に実績と情熱があることを条件で公募し、地域に定着した桑の湯の名称の継承も求める。活用提案書を10日~7月26日に受け付け、書類審査と面談を経て8月中に事業者を決定する。 桑の湯には現在、1日当たり約50人、土、日曜日は60人超の客が訪れる。桑澤さんは「まちの人のために公衆浴場として残してもらえたら」と話す。 情報の詳細は、不動産情報サイト・ココスマ松本に載せた。不動産取り扱いのノウハウがある、しおじり街元気カンパニーが事務協力した。問い合わせは街カン(電話0263・88・8530)へ。
市民タイムス