フィットネスジムが乱立…それでも「全力ストレッチ」の女性スタッフが「月収100万超え」を実現する理由
健康意識や美容意識の高まりで、近年フィットネス・ヘルスケアの分野ではさまざまなブランド店舗が乱立し、群雄割拠の様相を呈している。「chocoZAP」も新業態ジムとして注目を集めているようだが、この10年ほどでトレーナーが施術を行うストレッチ専門店も街中では目立つようになった。 【写真】トレーナーは女性だけ…SNSでバズったキャバクラみたいなフィットネスジム 中でも急成長を続けてきたストレッチ専門店のひとつが「全力ストレッチ」だ。独自開発のストレッチと女性トレーナーによる施術で人気を集めてきた同店。筋トレブームの裏で拡大を続けてきたストレッチ業界での生き残りをかけた成長戦略を創業者の阿佐美宏明氏に聞いた。
“セクシーストレッチ”で軌道に
17歳から13年間にわたり格闘家として活躍してきたという経歴を持つ阿佐美氏。25歳のとき、キックボクシングの修行で滞在していたタイで本場のタイ古式マッサージと出会ったことが、人生の転機となった。 「ジムの向かいにあったタイ式マッサージ屋で、おじさんが1時間ほどかけて50~60ぐらいの手技を毎回やってくれたんですが、毎日のように通い詰めるうちに自分でもなんとなく覚えてしまったんです。 もともと格闘技は30歳で引退して、将来は何かビジネスをやりたいという気持ちも強かったので、マッサージやストレッチといった分野で事業を起こしたいと考えるようになりました」 帰国後、現役選手として活動を続けながら本格的なマッサージ修行を始め、27歳で広尾にマッサージサロンを開業。骨盤矯正によるくびれづくりが評判を呼び、女優やモデルも通うほどの人気になったが、すぐにビジネスモデルとしての限界を感じるようになったという。 「クタクタなるまで毎日働きましたが、広尾の通りを行き交う高級車を見るうち「このまま職人としてひたすら施術を続けても経済的成功はあり得ない」と悟ったというか。僕以外にも施術スタッフがいたんですが、より非属人的で高い付加価値を提供するモデルを考えないと、スタッフたちのお給料も低いまま。あくまで一人の整体師としてではなく、起業家として成功したい気持ちが強かったです」 そうして業界で一番の高いサービス力と価値に見合った価格帯の店づくりを目指し、立ち上げたのが「全力ストレッチ」だ。テレビなどで“セクシーストレッチ”として紹介されたことなどを機に注目を浴び、2017年7月に法人化。緊急事態宣言下にあったコロナ禍の2020年4月にはFC展開を開始し、現在61店舗を全国に展開する。 「「セクシー寄り」とよく言われるんですが、どこまで僕自身が意識的に狙っていたかというと、実はけっこう微妙なんです。ただ、「全力ストレッチ」創業当時はヨガブームで、ヨガスタジオで働くインストラクターが人余り気味だったため、リクルートの戦略として彼女たちに魅力的な職場を用意したいとは思っていましたね。 健康的でスタイルの良い元ヨガインストラクターを多く採用した結果、多くの方に注目されるきっかけになったのは確かで、うまくハマって良かったと思っています」