マネスキンがサマーソニックを再び席巻 絶対王者として2度目の伝説を作った夜
アンコールを彩った祝福のバラード
アンコールでは再びトーマスがひとりで現れ、7分間にわたってドラマティックな泣きのギターソロを奏でだす。ここ日本で2年前、ギターソロのスキップ論争が巻き起こったのもいまや懐かしいが、長いロック不遇の季節に終止符を打ち、新時代の到来を告げたバンドが、名実ともに天下を獲ったことを示すシーンだった。 本稿ではそのあとの「THE LONELIEST」を最大のハイライトに挙げたい。2年前のサマソニ出演直後、2022年10月にリリースされた王道のロックバラードは、このバンドがスタジアムを制覇するために必要だった最後のピースであり、ビッグスケールの会場でこそ真価を発揮する楽曲なのだと思い知らされた。バンドも観客も全力で駆け抜けてきたからこそ、夢の終わりを仄めかす“Tonight is gonna be the loneliest”(今夜はもっとも寂しい時間になりそうだ)という一節はほろ苦いが、曲調そのものは共に歩んできた時間を祝福するようでもあり、冒頭でトーマスが弾いたギターはデヴィッド・ボウイの「Heroes」をうっすら想起させるし、マネスキン版の「We Are the Champions」みたいにも聞こえた。 フィナーレを飾ったのは2度目の「I WANNA BE YOUR SLAVE」。アリーナ一帯が最後の力を振り絞りながら飛び跳ね、声が枯れるほどの大合唱を巻き起こす。そして、ダミアーノは日本語で「ありがとうございます!」と言ってステージを去り、花道にやってきたイーサンが天高くスティックを放り投げて一礼すると、2度目の伝説を讃えるように花火が舞った。
Toshiya Oguma