定額減税の二重取り問題はなぜ起こるのか?鈴木財務大臣「ご理解をいただければ」
話題となっている「定額減税の二重取り問題」とは?
「定額減税の二重取り問題」とは、特定の条件下にある一部の人が意図せずに2回分の減税効果を得てしまっている状況を指します。 たとえば、「年収100万円超103万円以下の扶養内パートタイム労働者」が上記のケースに該当します。 この所得範囲では、所得税は非課税ですが住民税は課税対象となり、さらに配偶者控除の適用も可能です。 上記の場合、以下の二つの減税効果が同時に発生する可能性があります。 ・夫が受ける控除対象配偶者による4万円の定額減税 ・妻が個人住民税所得割の納税義務者として受ける4万円の定額減税 このような状況が発生した場合、実質8万円の減税効果を得られてしまうことになります。 これは制度の意図を超えた利益となるため、公平性の観点から問題視されています。 ●定額減税の二重取り問題はなぜ起こるのか? 鈴木財務大臣は閣議後の記者会見において「不公平であるといったご指摘があることは承知をしておりますが」と発言した上で「国民の皆様にご理解をいただければ」と回答しています。 今回の「定額減税の二重取り問題」が発生した背景には、一時的な措置であるゆえに制度の迅速な実施を優先したことから、細かな調整や例外処理を組み込む時間が十分でなかったことが要因としてあるのでしょう。 また、定額減税の二重取り問題を完全に防ぐには、各自治体や企業が個々の納税者の状況を詳細に把握する必要があります。 しかし、把握するためには膨大な時間とコストがかかるため、現実的ではなかったのだとうかがえます。 実際に、鈴木財務大臣は記者会見で、不公平性は認識しつつも「一時的措置であること」や「企業や自治体の事務負担への配慮」から、二重取りを容認する判断に至ったようです。
定額減税以外の現在実施されている給付支援も知っておこう
本記事では、「定額減税の二重取り問題」について詳しく解説していきました。 今回は定額減税について紹介しましたが、定額減税以外にも給付金支援が実施されています。 現在実施されている給付金支援の対象者は「住民税非課税世帯」もしくは「住民税の均等割のみ課税世帯」であり、いわゆる定額減税の対象ではない世帯を指します。 上記の世帯には10万円の給付が実施され、すでに申請を開始している自治体も多いです。 さらに、秋頃には「低所得者世帯」や「年金世帯」を対象とした追加の給付も決定しています。 今回の10万円給付では定額減税を受けた人は対象外ですが、追加給付については詳細は未定となっています。 内容が公表され次第、ご自身が対象世帯になるかどうかしっかりと確認しておきましょう。
参考資料
・財務省「鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和6年7月12日(金曜日))」 ・福岡市「令和6年度定額減税・調整給付・物価高騰緊急支援給付金」 ・国税庁「令和6年分所得税の定額減税のしかた」 ・松江市ホームページ「定額減税しきれないと見込まれる方への給付金(調整給付金)」
和田 直子