「可愛いのかと思ったら鬼やんけ」出会いから9年の決着…安納サオリを破った岩田美香のプライドの理由「スターダムはどんどん大きくなって…」
仙女とスターダムの差…刺激されたプライド
「7月15日、私は堂々と安納を待ちますよ。安納は黙ったままだけど“これはお前が(自分を指名して)始めた闘いじゃないのか”と言いたい」 試合後にインタビューしても“鬼の目”は緩まない。団体を背負い業界最大手のビッグマッチで勝ち切った凄味だ。 「1人で乗り込んでいって負けるわけにはいかないでしょう。それは私自身が許せないこと。チャンピオン対決は難しい? いや、ベルトを持ってる同士だからこそ面白いんじゃないですか。 スターダムはどんどん大きくなって、自分が前に出ていた頃とはメンバーもだいぶ違う。一番熱い状態のところに出て、チャンピオンになれたのは凄くよかったです」 メディアなど目立つ場所に出る数も、仙女とスターダムでは差があると岩田。だからこそプライドが刺激された。 「(大きさが違っても)団体として負けてるとも思ってなかったんで。私は仙女が大好きで、そのリングに誇りを持ってますから。 よく女子プロレスはキラキラしてるって言われますよね。仙女はそれ以前に勝負をする場。強さを求めて、勝ちにこだわってやってきた。仙女の練習は死ぬほどキツいって言われますけど、その通りです。その環境で厳しく育てられて、先輩たちの背中を見て、橋本千紘っていうでっけえ同期がいて、私はここまできたんで」
試される安納サオリの本領
この試合で岩田を初めて見て、魅了されたプロレスファンも多いのではないか。岩田はリスキーなワンチャンスを完璧にモノにした。一方の安納は、どん底からの再出発になる。王座陥落から1週間後の大会では、タイトルマッチで勝っている壮麗亜美にフォール負け。団体は安納と岩田のタッグ対決を組むことになった。“復活ロード”を用意して奮い立たせようというのだ。 そこでは、安納のキャッチフレーズである“絶対不屈彼女”の本領が試される。スターダムではクールなイメージで通してきたが、本来は悔しさをエネルギーにできるタイプだ。 なにしろ決着戦に勝った岩田ですら、これで終わりだとは思っていないのである。決着戦だと思われた試合は、むしろ始まりなのかもしれない。
(「濃度・オブ・ザ・リング」橋本宗洋 = 文)
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