自民党甘利氏が落選、ラピダスなど半導体支援のトーンダウン懸念も
(ブルームバーグ): 自民党の甘利明元幹事長が27日に投開票された衆議院選挙で落選した。半導体戦略推進議員連盟の会長を務め、半導体産業振興の旗振り役となってきた同氏が不在になることで、資金調達が課題となっているラピダスを含め半導体支援政策がトーンダウンする懸念もある。
経済産業相も務めた甘利氏は、半導体産業向けの補助金投入を推進してきた。2023年1月のブルームバーグのインタビューでは、官民合わせて10年間で10兆円程度は投資しないと勝ちきれないと述べ、次世代半導体の量産を目指すラピダスについては「日本の半導体戦略の中心になる会社」として、十分な官民投資が確保されるべきだとの考えを示していた。
自民・公明の与党は今回の衆院選で09年以来初めて過半数を下回り、政策面で野党と妥協せざるを得なくなる可能性が高い。石破茂首相は昨年度の補正予算を上回る景気刺激策を公約しているが、半導体供給網への多額の補助金が盛り込まれるかどうかは不透明だ。
政府は半導体産業再興のために3年間で約4兆円の予算を計上し、その中にはラピダスに対する計9200億円の支援も含まれる。NHKは、経産省は複数年にわたって国内の半導体産業を支えるための資金支援を行う新たな枠組みを設ける案を検討していると報じた。
甘利氏とともに半導体政策を推進してきた関芳弘衆院議員は6回目の当選を果たした。一方、ラピダスの半導体工場が建設されている北海道千歳市を選挙区に持つ和田義明氏は落選した。
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Mayumi Negishi, Yuki Furukawa