【大学トレンド】いまどきの「獣医学部」 動物実験を減らす「VR実習」、病院以外への就職は?
獣医学部は、獣医師になるために専門的な知識や実技を6年間かけて学び、獣医師免許の取得を目指します。現在、国公立大学11校、私立大学6校に設置されています。動物実験を減らすために最新の取り組みをしている大学もあります。獣医学部の学生はどのように学び、どのような生活を送っているのでしょうか。 【写真】動物実験を減らす。「VR」犬を使った実習の様子
麻布大学は、1890(明治23)年開設の東京獣医講習所が前身で、130年以上前から獣医学教育を実践してきました。神奈川県相模原市のキャンパス敷地内には、牛や馬などがいる実習施設や小動物がメインの附属動物病院があります。獣医学部獣医学科6年の大賀光将さんは、同大学附属高校の出身です。中学生のときに獣医師になると決めてから、その目標が揺らぐことはありませんでした。 「獣医学部は、犬猫の獣医師を目指して入学してくる学生が多いのですが、僕が目指していたのは牛の獣医師です。祖父が北海道で牧場を経営していて、子どものころから夏休みや冬休みになると、牧場の手伝いをしていました。獣医師が牛の診察に来てくれることもあって、こんなふうに動物と関わることもできるのだなと思っていました。その姿が印象的で、獣医師を目指すようになりました」 大賀さんは、附属高校からの内部選抜枠を利用して麻布大学に合格しました。もともと同大学への進学を目指して附属高校に入ったわけではありませんが、他大学のオープンキャンパスにも参加するなかで、首都圏にありながら、産業動物臨床教育センター(LAVEC)などの実習施設が充実していて、キャンパス内の施設で獣医学のすべてを学べる同大学に魅力を感じました。 獣医学科では、基礎獣医学(生理学、解剖学など)、病態獣医学(免疫学、病理学など)、生産獣医学(産業動物の臨床)、臨床獣医学(小動物の臨床)、環境獣医学(公衆衛生学、疫学など)、の5領域を学びます。大賀さんが入学してまず感じたのは、学ぶジャンルが多岐にわたっていることでした。 「獣医師というと、犬猫などの小動物系や、牛、馬、豚などの大動物系に関する医学を学ぶイメージを持っていましたが、水産動物やミツバチについても学ぶ授業があったのは驚きでした。ある先生から『人以外のすべての生き物を診るのが獣医師』と聞いて、納得しました。また食中毒や環境 についても学ぶ授業があり、獣医学が人間の健康や安全に関わっていることを知ったのも意外でした」